53: 坊主カット3 2008/02/12(火) 18:06:07 ID:MvJc4QEh0
読経が始まってしばらく経った時だ。本堂の入り口、つまりわたしとkのすぐ後ろで物音がした。
何の音だろうと耳をすましていると、どうも人の足音のように聞こえる。しかも靴の中にたっぷり水を入れたまま歩いているような、
グチョッ、グチョッ・・という足音だ。
何の音だろうと耳をすましていると、どうも人の足音のように聞こえる。しかも靴の中にたっぷり水を入れたまま歩いているような、
グチョッ、グチョッ・・という足音だ。
それから、誰かにジッと見られているような嫌な感覚。思わず背筋がゾッとしてkの方を見ると、
彼も同じものを感じたようにわたしを見ていた。
和尚さん・・・助けを求めるようにわたしたちは小声で坊さんを呼んだ。が、坊さんは左手をちょっと揚げてわたしたちを制した。
そのまま大人しくしていろ・・・そう合図しているようだった。
読経の間中、その不気味な足音と視線は続いた。これからどうなってしまうんだろう、わたしたちは訳もなく不安になり、
半ベソ状態だった。
やがてお経が終わると、正体不明な音も視線も、綺麗に消えた。
私達は緊張の糸が切れた勢いで坊さんにしがみついた。
54: 坊主カット4 2008/02/12(火) 18:06:54 ID:MvJc4QEh0
夜、御勤めの読経をしていると、成仏できない仏様がたまにやって来るらしい。今夜来たのは、
おそらく3年前に近くの川で身投げした身元不明の女の人。毎年、同じ月日の同じ時間にやって来るのだという。
おそらく3年前に近くの川で身投げした身元不明の女の人。毎年、同じ月日の同じ時間にやって来るのだという。
幽霊がいるかいないかは分からない。信じる人も信じない人もいる。だが、こういう奇妙な体験をしてしまうと、
坊さんを続けなくちゃいけないと思うね。
坊さんは静かにそう言った。
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