その日は家でのんびり過ごしていました。午後になって2階の自室のベッドでゴロゴロしてたら、いつの間にか寝てしまったようです。
カーテンは開けていたのですが、もう日が落ちるのも早く、曇りの日だったのでいつもより暗く感じました。
上半身を起こして時計を見ると17時くらい。
どうやら2~3時間程眠っていたようです。心地よい眠気が残っていたので、「これ以上寝ると夜寝られなくなるぞ!」という理性と「お布団あったかいよ」という誘惑がぶつかり、私は「あと5分」という決断を下し、ドサッと枕に倒れました。すると、ほんの数秒後、突然ドアが開きました。
私はうつ伏せで顔をドアの方に向けていましたが、まあ、どうせ母だろうと思い、目を開けてはいませんでした。
「んー?(何か用?的な意味合いで)」と言うと、返事がありません。
うちの母ですが、なんというか礼儀正しいところがあり、部屋に入る時にノックをしないでいきなりドアを開けるということはなく、また目的もなく部屋に来るということもなかったので、ちょっと違和感を感じて目を開けました。
するとドアが半分くらい開いていて、ドアノブを掴んだ姿勢で誰かがいるのは分かったのですが、薄暗かったし、半開きくらいだったのではっきりとは見えませんでした。
「もー、なんだよかあちゃん」という気持ちで体を起こそうとした瞬間、ドアが引かれバタンと閉じられました。
その時は「ふん、なにさ」と思って、今度は仰向けになろうとしてモゾモゾしてたらノックがしました。
で、また「んー?」というと「コーヒーいれたよー」と母親の声がして、ぱっと起きてドアを開けると、母親がコーヒーとクッキーを持って立っていました。
私は「ありがとう」と言って受け取りましたが、ふと「あれ、さっき来たよね?」と聞いてみると「えっ、来てないよ」といいます。
さっきドアが閉まって母親が来るまで体感で20秒もない感じでした。
私はクッキーをもそもそ食べながら、だんだんドキドキしてきました。
いや、もしかしたら悪い人かもしれない!と思い、念のため武器(部屋にあった缶ジュース)を持って部屋という部屋を見て回りました。結局、家には私と母親しかいませんでした。
ちなみに鍵が開いていたのはトイレと納戸の格子付きの小さな窓だけです。少し落ち着いたところで、ご飯の時間までぼんやりと今の出来事を思い返していました。
一回目覚めた状態からすぐさま認識力が働かなくなるくらいまで寝ぼけたのか?
風圧かなんかでドアがすぅっと開くことはたまにあったけれど、あの物理的な力を加えたような開閉の仕方と聞こえた音は幻だったのか?
凄腕侵入者が音もなく家から出て行ったのか?
はたまた幽霊さんか・・・・・・ともやもやしていました。
夕飯の時に改めて母に聞きましたが(念のため父や妹にも)なぜか笑われました。
よくある話ではありますが、毎日毎日怖い話ばっかり読んでいると何か起こるのかもしれないなぁと思いました。
今思うとドアの人をもう少しはっきりと見たかったですね。