中学のときの話。
近所の友達と三人で登校するのが日課だった。
横断歩道を渡って住宅街の中に入るんだけど、三人で歩いてると、後ろから足音が聞こえる。
振り返ると誰もいない・・・ということがしょっちゅうあった。
足音は、たまに友達のうちの片方が「聞こえた」って言ってくれるときもあったけど、ほとんど自分にしか聞こえてなかった。
全員聞こえてることは無かった気がする。
不思議は不思議だけど横道もあるし、家に入ったのかもしれないという感じで片付けてた。
ある朝いつもと同じように三人横並びでその道を歩いてると、足音がした。
またいないかも・・・とか微塵も思わなくて、よけなきゃ、と振り向いた。
すると、黄色いパーカーを着た男の人がいた。
顔は見なかったけど多分まだ若くって、背が結構高い。
「ちょっとダサイ格好だなぁ」と思ったのを覚えている。
自分たちとの距離は1mくらい。
振り向いて一瞬見た後、一回前を向いて、もう一度振り返った。
誰もいない・・・。
さすがにびっくりして振り向いた勢いのまま一回転してしまった。
いつもなら横道や家に入ったんだろうで済ませられたんだけど、その時いたのが左右に10mくらい生け垣と塀が続いてる所で、どこにも逃げようが無い。
友達に「どうしたの?」って聞かれたから、見たままを正直に答えたけど、気味悪がれるだけだったのですぐその話は止めにした。
それから何年かたって、それぞれ違う高校に進学した年の夏休み。
久しぶりにあの時の三人で遊ぼうということになった。
遊ぶと言っても近所の公園でちょっと花火をするくらい。
しょぼいながらもそれなりに盛り上がってきた頃、後ろから足音がした。
犬の散歩だと思った。
「せっかく盛り上がってんのにわざわざこっちに来て・・・めんどいなぁ」
などと考えつつ振り返ったら、また黄色いパーカーを着た男の人がいた。
その時は気がつくとふっと消えていった。