私の母が体験した30年くらい前の話。
当時、神奈川県にけっこう大きなキャバレーがあり、母は新聞の募集欄を見て、アルバイトの面接に行きました。
内容は、ホステスさん達の幼い子供さん達を、勤務時間中に面倒をみてあげるというもの。
意外にもすんなりと採用されました。
建物は古いなりに修繕されてはいたけれど、玄関から一歩足を踏み入れた途端、もうぞぞぞ~っと総毛だち、足が震え、中に入るのもやっとだったそうです。
中には幼い子供達がいたんですが、みんなやけにおとなしい・・・。
見ると寝ているんではなく、恐怖におびえ縮こまっている感じだった。
驚いたのは、ボーイさんと行った時、だーれも面倒をみている大人がついていなかったことです。
建物内の各部屋を見回ると、誰かがこちらをじっと覗き込んでいる視線を感じた。
特に子供達がいる部屋にある、廊下側に通じる覗き窓からは強い視線を感じたそうです。
母は振り向き、ボーイさんに声をかけたけれど返事がない。
見ると玄関の外に立っていて、入ってこようとしなかったそうです。
とりあえず外に出て、今は誰が面倒をみているのですか?と質問すると実はすぐにやめてしまうもんで・・・と答えていたそうです。
ボーイさんは、それではよろしくと一言残し、さっさと逃げるように行ってしまった。
夜も更けた11時頃、突然建物全体はザザザザッと振動したそうです。
うわっ地震かな?と身構えると、再びザザザザッと建物全体が揺れた。
テレビを点けたけれど、さっきまでは点いたテレビがなぜか点かない。
母はどうしたことかと思案にくれ、建物の表に出て見渡したところ、とんでもないことに気がついたそうです。
今目の前にある、建物だけがガガガッと揺れ、周囲にある塀や木などが全く揺れていなかったそうです。
母は、怖くなって絶叫してしまったそうです、まさか子供達を置いて逃げることもできず、泣くしかなかったとか。
もちろん、その日一日で母は仕事を辞めてしまったそうです。
後日聞いてわかったことなんですが、その建物は家鳴り震動を起こす不気味なオバケ屋敷として、地元では有名なところだったそうです。