引用元: ・∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part66∧∧
研修中、毎晩毎晩うなされてて煩いので、問い質したら冗談めかして以下のような話を始めた。
多分、作り話だろうけど、最近ある機会に思い出したので。
Aは都内の大学を卒業して新卒で会社に入ってきたんだけど、出身はN県。
それも実家があるのは、かなり田舎の方らしい。
で、このAの祖母がかなり迷信深い人で、昔から色々な話を聞かされたんだとか。
その中でも一番よく聞かされたのが『よりかたさま』という妖怪(?)だかの話らしい。
簡単に要約すると、実家近くの山の下には地底の国があって、
そこには『よりかたさま』たちの国がある、って話。
Aの実家の周りは山があって、「人穴」と呼ばれる洞穴がいくつかあって
(というより、話を聞く限りだと、山にある深い穴を人穴と呼んでたような印象を受けた)、
有名な人穴は神社に祭られてたりしたらしい。
多分、パワースポット的な物なんだろうと思う。
でも、その人穴の中には一つだけ「蛇穴」と呼ばれるものがあって、
それは『よりかたさま』たちの国に繋がってる~云々。
だから、山の中で洞穴を見つけても迂闊に近寄っちゃいけない、と言い聞かされてきたんだとか。
事あるごとに「夜遅くまで騒いでると、
『よりかたさま』が来るよ!」
と祖母に言われていたため、漠然とした怖さを感じていたらしい。
そんで時は流れてAは都内の大学に進学してスキーサークルに入ったんだけど、
二年の冬休みに友達3人とAの実家に泊まろうって話になった。
Aの出身のN県は豪雪地帯で、実家から近くにスキー場があるので、
ちょうど良いからそこに泊まってスキー合宿をしよう、という事になったみたいだ。
A達と友達の3人は冬休みの間、どっぷりスキー三昧だった。
ただ、流石に毎日スキーばっかりだと飽きてくるみたいで、大晦日はAの実家でゆっくりしてた。
年末特番にも飽きてきて適当な雑談をするも、話題が尽きてくる。
ついついAは『よりかたさま』の話を友達にしてしまったらしい。
テレビもつまらないし、やることも無いということで、
肝試しも兼ねて「蛇穴を探してみよう」という話になった。
Aは「いや、流石にヤバいから」と拒否した。
というのも、Aの地元では山にまつわる迷信がいくつもあるのだが、
その中に「大晦日は山に入ってはいけない」というものがあったからだ。
(Aの地元だけじゃなくてN県には結構、○日は山に入っていけない、という迷信があるそうな)
しかし、完全に友人たちは乗り気で、Aもこれに水を差すのもどうかと思い、
最終的には蛇穴探しを承諾した。
「冬眠中の熊に出くわさないように」とか、
そんな理由で子供が洞穴に無暗に近づかないように作られた与太話だと思ってた。
結局、ちょっとスリルを味わってテンション上げてから新年を迎えよう、
くらいに思って山に入ったんだと。
地元の人の間ではいくつか「近づくな」と言われている洞穴があって、
Aはその内のどれかが件の蛇穴だろうと当たりをつけていたらしい。
Aと友人達の計4人はそれらを一通り回ることにして、山に続く道を歩いた。
ただ、丁度「ここら辺りから山だな」と思ったあたりから、
Aは心なしか違和感のようなものを覚えた。
幼い頃から遊び場にしたりして、何度も上っていた筈なんだけど、
全く見知らぬ土地に迷い込んだみたいな、 所謂、未視感を覚えたらしい。
夜の山に入るのはAも初めてで、真っ暗な山道を懐中電灯だけで歩いたから、
それで違和感を覚えてるんだろう。
そんな風にAは自分を無理やり納得させたんだそうだ。
背筋が凍えるような嫌な感覚を覚えつつも、A達4人は洞穴を回った。
山に入った時点で「ヤバい」と感じつつも他の3人がノリノリで洞穴に入っていったせいで、
止めるに止められなかったそうだ。
ただ、一つ目と二つ目の洞穴は本当にただの洞穴で5メートルも続いてなかったんだとか。
(でも洞穴の中は本当に真っ暗で、
懐中電灯だけで中を照らしてたので「マジで怖かった」とのこと)。
三つ目でついに『当たり』を引いてしまった。
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