オカルト

【オカルト】人間じゃない

俺が20歳になってすぐのバレンタインデーにじいちゃんが亡くなった。

 

923: 本当にあった怖い名無し  ID:

俺が20歳になってすぐのバレンタインデーにじいちゃんが亡くなった。
威厳があって、頑固で、いつも第三者的な立場で物事を考えられる家族の相談役でもあった。
そんなじいちゃんの事を定年して1年もしないうちに息子や娘や婆さんは罵倒しだした。

それでも葬式の時はみんな泣いてた。俺だけは素直に泣けなかった。
あれだけじいちゃんを馬鹿にして自分たちのいいように年金やらなんやらをくすねとってた癖に
こいつら何泣いてんだよ。金取れなくなったから泣いてんのかよ。って思ったから。

49日までのお経を当時中学生になったばかりの従弟が読んだ。
家族から唯一無視され続ける変わり者の従弟。
ご飯は白米しか食べれない。ジュースも飲めない。味がついたものを食うともれなく吐くから。
ご飯にも誘われなくなり気味悪がるがられるようになった。
無視され続ける理由は従弟が家族を無視し続けてるから。
昔は愛想よくて笑顔の絶えない子だったけど、いつの日からかそうなった。

でもお経を読む日だけは率先して従弟が立候補した事に親戚がびっくりしていた。
実際に読まれるお経は本当にお坊さんかと思うほど響く声で窓が揺れるほどだった。
お経が終わり皆が賞賛する声も無視してそそくさと自宅へ戻って行く従弟。
次の日も、その次の日もそうだった。

じいちゃんの家からの帰り道の石段の一番下で足を怪我してこけている女学生を見つけた。
髪が凄く綺麗でまだ冬だというのに夏服ブラウスに長いスカート。
上に行きたいのか尋ねてみると首を縦に振った。おぶって上の踊り場まで連れて行く途中で従弟に会った。

「おじいさん今日は兄ちゃんにおんぶしてもろてんの?よかったなー」と俺の背中に向かって話しかけた。
俺がおぶっているのは女学生のはずなんだけど気になったので従弟に「女学生におじいさんは失礼やろ」と言った。
そしたら従弟が俺のそばまで戻ってきて「人間じゃないで」と言って去っていった。

混乱したけど踊り場まで連れてって「従弟が変な事言うてごめんな」と女学生に謝った。
そしたらおじぎをしてじいちゃんの家とは反対方向へと消えて行った。

 

924: 本当にあった怖い名無し  ID:

3日して帰宅途中でまた同じ女学生に会った。またおんぶして踊り場まで連れてった。

次の日に親戚連中の前で女学生について聞いてみた。下心があったから。
そしたらあの通りに若い人は住んでいないと皆は言う。

帰り道で従弟が待ち伏せてた。女学生の事について人には見えないから話すなと言われた。
話したら俺みたいに無視をされる…と。そう言われた。
従弟は見るたびに違うものだと言ったけど俺にとっては綺麗な女学生だった。
従弟が見るとおじいさんだったり猫だったり犬だったりするらしい。
どうやって見分けてるのか聞くとなんとなく人間じゃないって分かるそうだ。

あと、お願いを一つ聞いてくれるらしい。
従弟はその姿がおじいさんに見える時にどうすれば死んだじいちゃんが喜んでくれるかを尋ねたらしくて
そしたら仏壇の前でお経を読む時に頭に浮かんだ人に「おいでおいで」と誘えば
お経がうまく読めると教えてもらえたらしい。
お経を読んでいる時の記憶もあるけど自分の身体じゃないみたいだと言ってた。

降霊術かなにかなのかなって思って色々聞いてみたけどよくわからんらしい。

49日の最後の方にまた女学生と会えた。今度は普通に階段を一緒に登った。俺は降りるとこなのに(笑)
従弟の話を思い出して「今度デートしてください」と女学生に言ってみた。
無視された。でもおじぎだけはしてくれてお別れした。たった3分くらいの短い葛藤の末のお願いはきっと却下されたんだ。

それから49日が終わっても1週間くらい石段に通った。女学生には会えなかった。

去年の9回忌の時にあの女学生に会った。全く老けてなくてそのままの格好だった。
あの時、従弟は嘘をついていなかったんだなって確信した。確かに人間じゃない。
それでもあまりに綺麗だからまた同じ事を踊り場についてから言ってみた。
「今度デートしてください」って。
そしたらまた無視されておじぎされてお別れして…じいちゃんの家に入る前に空耳かもしれないけど
(それは今まで考えてた事じゃない)って言われたような気がした。
確かにそう。宝くじ当たらないかな?ってのを8年間で一番考えてた。

 

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