俺の一家は霊感があるらしい
俺の一家は霊感があるらしい
らしいというのは、俺には全く欠片もなかったからだ
「お前はよく霊を呼び寄せて悪戯されている」と結構言われていた
事の発端は20年程前。小学校の3泊4日の修学旅行の時の事
旅行先はとある県。記念館やら何やらを周った覚えがある
小学生の俺らにはそんな物の価値はよく分からなかった
でも他所に泊まれるってだけで嬉しかったんだ
だから宿泊先に付いたら、大はしゃぎで自分の部屋に向かった
でもおかしい。まず部屋名がおかしい。【十太郎】という名の部屋だった
他の部屋はバラとかスイセンとか花の名前だったと思う
変だなーとは思ったが、ほぼ気にしなかった
部屋にはいると2段ベッドが2つ入口の両脇に置いてあり、奥に3畳ほどの座敷(仕切りは無い)だった
4人1組で部屋を使うので、2段ベッドの上段を取り合っていると、1人が「何か貼ってある!」と大声を上げた
皆でぞろぞろとみて見るとお札発見
しかしボロボロ。テープで補強してあるほどだった
そんなものが見つかれば、当然部屋捜しが始まる。結局部屋から計4枚の御札が見つかった
その時は、皆気味悪がって何もしなかったのだが、夜になり一人がふざけてお札を1枚剥がした
「こんなの嘘に決まってんじゃん!」とかなんとか言ってたと思う
他も剥がそうとしてたんで、俺と残りの2人で止めた
その日、俺は深夜遅くに目が覚めた
特に何があるわけではなかった。
ただ目が覚めただけ
また寝ようとうつらうつらしていると、座敷の方に何か気配があるようだった
でもまだ子供だ。眠気には勝てない。全く気にせず寝てしまった
朝、目を覚ますと、部屋のメンバーが喧嘩していた
メ1「なにまた剥がしてんだよ!」
メ2「俺じゃねーし!」
どうやら起きたら御札が1枚新たに剥がれていたらしい
全く興味のなかった俺は、
「朝ごはん味噌汁かな?」とかバカな事を言っていた
朝ごはんはパンとコーンスープだった。
その日の夜、また深夜に起きた
しかしまた何があるわけでもない
が、座敷の方に気配がある
今回は頭だけ起こしてみて見てみた
何かいる。でも何か分からない。暗いし眠いので気にせず寝た
翌朝、また御札が1枚剥がされていた
部屋のメンバーは怖がっていたが、俺は朝飯の方が気になってしょうがなかった
その日はご飯と焼き鮭だった
3日目の夜また深夜に起きた
またかと思い座敷を見ると、子供がいた
月明かりしかないけど、どうやら同い年くらいの子
「おい!」と声をかけるとその子はびっくりしてこっちを見た
俺はさっさと寝たかったので、「先生に怒られるよ」と声をかけて、またすぐ寝てしまった。
翌朝、最期の御札が剥がれていた。
そして、入口のドアに【十太郎ばいばい】と小さく書かれていた。
俺は「あー修学旅行終わりかー」とか考えながらバスに向かった
帰りのバスの中、寝ていると突然担任に起こされた
担「大丈夫か!?」
俺「え?え?」
担「今から行くところあるからな!」
そのまま俺だけバスを降ろされ、担任とタクシーで神社に連れて行かれた
どうやら、ぶつぶつ呪文のようなものをひたすら唱えていたらしい
神社に到着し、中に通されるとお爺ちゃんの神主さんがいた
俺の事をちらっと見て、
爺「本当にやるのですか?」
担「お願いします」
それだけ言って、お払いのようなものが始まった。
神主さんがごにょごにょ30分位やった後、
爺「もういいでしょう」
担「もう大丈夫でしょうか?」
爺「その話は後でお話いたします。」
そういってすくっと立ち上がった。
俺も何も異変はなく、訳が分からなかったので素直に立ち上がった
内心「やっと終わった!」とか小躍りしてた
3人で外に出ると、保健の先生が車で迎えに来ていた
担任は神主の話を聞いて帰るらしかった
帰りの車の中、俺はなぜか後部座席。
先生と旅行での話をしていたが、突然先生が
「2人とも仲いいのー?」と聞いてきた
この車には俺と保健の先生しかいないし、何を言っているのか分からなかったので、黙ってしまった
でも先生は一人で会話している
「そうなんだー」
「良かったねー」
俺は訳が分からなかった
俺「せんせー…何言ってるんですか…?」
先「えー?友達でしょー?」
俺「誰ですか?」
先「いやいや、隣にいるじゃない」
横を見る。隣なんて誰もいない
俺「先生止めて!」
先「何でそんな事いうのかなー?」
だって隣なんて…と思って、再び横を見ると女の子がいた
「うわぁ!!」
俺は思わず叫んでしまった。
その子は、同い年くらいの子
たぶん前日の夜に部屋にいた子
心臓がドキドキし、汗がドンドン吹き出た
なんで?さっきまでいなかったのに!どこから?いつから!?!?
頭の中で必死に答えを探していた
そうこうしていると、彼女が首だけ回してこっちをじーっと見てきた
目を大きく見開いて、すごく嬉しそうに笑っている
ニタニタ笑っているわけじゃない、ごく自然に嬉しそうに笑っていた
逆に不気味だった
彼女は笑ながら口をゆっくり開いて
「友達だよ」
気が付いたら、学校についていた。保健の先生に揺り起こされた
女の子はいない。そして先生も女の子については何も話さなかった。
だからてっきり思ったんだ。何だ夢だったのかって
俺は凄く安堵したのを覚えている。
安心しきって家まで帰ると家族みんな心配してくれてた。
「ただいまー!」って皆に言ったんだ
そしたら、皆口を揃えて言った
「女の子がいる」
20年経った今、未だに女の子はいるらしい
実は、先日おかしな事があって神社に行ったんだ
そこで色々わかった
女の子が20年も俺にくっついていた理由,そして20年前の神主の「本当にやるんですか?」の意味が。
その話はまた長くなるから、いつか話すよ
話せたらね