いろいろ書いたとおり、うちの会社はその手の話には事欠かないし 私も含め、けっこうみんな好きらしい
3年先輩の人から聞いた話
先輩が1Fの倉庫で資料を探していた
手前の搬入口傍には事務関連の伝票束や印刷する前の紙の束などが置かれている
奥のほうは、古い資料や社長の私物がごっちゃりと置かれているスペースがある
先輩はすぐに目的の資料を見つけ、サボりがてら、奥を漁ってみたそうだ
社長は骨董マニアで、以前自宅を新築する際、とりあえず持ってきて 以来、そのまま放置というパターン
社長の趣味は節操無くて、古い人形から、鎧兜、掛け軸、日本刀(本物ではないと思うけど)
など、いろいろとあったらしい
どれも汚れていて、価値はなさそうだったけどと先輩は言っていた
その中で、汚い布張りの箱を開けてみたそうだ
大きさは、お中元のビール12本セットくらいのもので、結構大きい
中には、5体の人形が入っていた
人形は木で出来ていて、顔が掘り込んであったり、日本人形みたいな髪の毛がついていたり 布製の服を着ていたりと、作りの細かい、こけしのような感じ
なぜか、胴体と頭が離れていて、別々の袋に入っていた折れていたとかではなく、頭部分には穴が開いていて、胴体には突起があり、プラモのようなパーツに分かれていたそうだ
何気なく先輩は、それを組み立てて、箱に入れ、仕事に戻った
怖くなかったか聞くと 「倉庫が薄暗いから、気味がわるいっちゃ悪いけど、別に人形が怖いとかは無かった」と
それから、数日後先輩に奇妙な電話が掛かってくる様になった
先輩は個人の携帯を支給されていて、そこに無言電話が続いたらしい
営業なので、無言でも勝手にこちらから切るわけに行かないし、ひたすら もしもし?と繰り返した
何度か無言電話が続くうち、ボソボソと小さい声が聞こえるようになった
でも、なんて言っているかは聞き取れない 数人で話をしているらしい
なんとなく女の声のような感じがして、更衣室に仕掛けられた盗聴器でも拾ってるのでは?
と思ったらしい
さすがに気味が悪くて、仕事時間以外のものは切ったりしていた
家に帰ると、並べたプラモの首が全部落ちていた事があった
先輩はプラモが趣味で、テレビ脇の棚に10体くらい並べていて その首が全部落ちていたらしい
接着はしていないそうなので、外れる事もあるかもしれないけど 全部一気に落ちていたのは、怖かったと言っていた
無言電話は相変わらず続き、ふと倉庫の人形のせいではないか?と思ったらしい
さっそく倉庫の前まで行ってみると、携帯が鳴った
いつもの無言電話、耳をすますとやっぱり、何かがしゃべっている感じがする
携帯を耳に当てながら、とりあえず、もしもしと返していた
倉庫の扉を開け、中に入る
ボソボソした声が、すこしはっきりしてきて、言葉が聞き取れるようになった
「足りない」
「違う」
とか、聞こえる
そして気付いたらしい
その声は、携帯からではなくて、倉庫の奥から聞こえていた
先輩はもう、怖くて怖くて、そのまま飛び出し、仕事に戻った
でも電話は鳴るしで、困ってしまって、同僚に頼むことにした
倉庫の人形を、またばらして元に戻してもらう事と、もう一つ
それをやってから、ぱたりと無言電話はやんだらしい
プラモはすでに仕舞い込んでいた(最初に落ちた時怖かったから)
先輩の話が終わって、怖いながらも、出来すぎですよーとか言っていた
でも頼まれた人もその場にいたので聞いてみると
話し声はしなかったけど、確かに人形をばらして、つめ直してきたと証言した
(べつにその人には何も起きていないらしいけど)
「な、本当だろう?嘘だと思うなら、倉庫に行って箱、開けてこいよ
人形と、俺のプラモが入ってるから!」
「どうして、プラモ入れるんですか?」
先輩は言ってなかったっけ?と言って、最後に付け加えた
その人形は胴体が5体で、頭だけ6個あったらしい
ぼそぼそと足りないと聞こえたので、持っていたプラモの胴体部分だけを
入れてくれるように、同僚に渡したそうだ
先輩は自信満々に、だから俺は助かったんだと言った
その人形をみてみようかと話は盛り上がったけど、結局見に行った人の話は聞かない
体験談ではなくて、聞いた話しで、信憑性は薄いかもですが
まあ、こういう会社なので、本当かもしれないとも思っています
長文失礼しました