約10年程前(日時や登場人物は関係者に迷惑になると
いけないので、全て微妙にズラします。)転勤になり、
隣にある雪深い地方都市に移った。
そこで職場のパートさんに数か月前にエレベーター事故で
清掃会社のおばさんが亡くなったと聞かされた。
夜、終業後に5階からエレベーターを呼んで階下に降りようと
したらエレベーターの箱本体が来ていないにも関わらずドアが
開き転落死したとの事。
隣の市の自分の会社の事故とはいえ、県が違ったため全く
知らなかった。(客商売の為、地方紙とかでは報じたのだろうが、
全国版では報道しなかった)
当時それを聞いた時は心霊的な事に興味もなかったので、
気にせず毎日23時頃まで仕事をしていた。
会社の人間はみんな21時頃には帰ってしまう為、夜は自分、
警備員さん一人、清掃会社の方3~5人という状況が多かった。
当時はサービス残業に対して労基の監視も甘かったので
18時が終業だったのだがいつも23時頃に5階の事務所に
タイムカードをスキャンしに行っていた。
警備の方の迷惑になる為23時15分には必ず退社するという
約束で、警備の方には会社に長時間勤務している事は内緒に
してもらっていた。
その日もいつものように23時頃タイムカードを打ち、事務所を
出てエレベーター乗り場に向かった。
会社は古いビル(築30年以上)で改装を実施した時に
エレベーターを大きなサイズに取り換えた直後という事もあり
亡くなった方への賠償はエレベーター製造会社、工事請負
会社が支払い、エレベーターの箱も無償交換されたとの事。
事務所を出たところで、通路を曲がって消えた小柄なおばさん
を見かけたのだが最初は清掃の方だと思い、エレベーターで
先に一人で降りられては困ると思い、急いで後を追った。
エ(めんどいのでエレベーターは今後エに略します)乗り場の
前に行くと・・・誰もいない。
古い建物の為、非常灯もなく窓から差し込む月明かりのみで
薄暗いエ乗り場前には自分一人。
資材が放置してあり人が隠れる事は可能だが、今そんな事する
意味ないし・・・。
あれ?おばさんいたよな・・・、不思議に思いながらエのボタンを
押そおとパネルをみると、
何故か数分前自分が5階に来るのに使ったエが3階にある。
警備員さんが使った?それよりもさっきのおばさんは何処
いったんだよ・・・、その時に押していないエのランプが
4階・・5階・・と登ってきた。
あれ、警備員さんが事務所の詮錠にくるのかな?と思い
待っているとスーッとエの扉が開いた。
中には・・誰も乗っていない。その時にやっと聞かされた
エ事故の事を思い出して怖くなり震えた。
怖くてエの中に入る事が出来ない。どうしよう、どうしようと
エの「開」ボタンを押したままガクブルしていた。
エとは少し離れた場所に階段があるのだが、物凄く急な階段で
明かりが一切ないのでそちらを使うのは危険という意味で怖かった。
怖くて怖くて仕方無かったのだが23時15分の約束の事も
あるので、恐る恐るエに乗り込み1階へと向かった。
一階の警備員室では警備員さんがのんびりとくつろいでおり、
やはり警備員さんではなさそう。
「まだ誰かいますか?」と警備員さんに声をかけるともう誰も
いないよ、との返答。
警備員さんには何も言わず急いで会社を出たが一人暮らし
だった為、家に帰るのが怖く一時間以上コンビニで立ち読みを
して恐怖心を紛らわせてから帰宅したっけな・・・。
ここまでが第一部。この数カ月後にもっと変な事が実はあった。
だいたい話は6ぐらいになりそうです。
人もいないのでのんびり書きます。
数日間は気味が悪くエに近ずくのも怖かったのでタイムカードも
早めにスキャンして、夜にエは使わないようにしていた。
仕事の業績も順調で、自分の能力もあがってきているのが
わかってきたので、いつしかその夜の体験も忘れて仕事に
又没頭するようになった。
職場の人間には一切その夜の体験は話さなかった。
(変なやつと思われるのもいやだったので。)
一年ぐらい経って、同業他社で修業を終えた社長の息子が
上司として着任してきた。
仕事熱心な上司で毎日22時頃までデスクワークをこなして
帰宅するのがデフォ。
自分は建物の一階で毎日働いていたのだが、22時過ぎに
エの側にある急な真っ暗な階段を使い一階まで降りてきて
「○○君、(僕)早く帰りよ」と必ず声をかけてくれて、少しだけ
立ち話をして上司が帰り、自分は仕事を続行していた。
半年近くそんな事が続いていたのに、ある頃から帰宅する
上司に全く合わない日が続いた。
ちなみにエを使用して下に降りると一階の自分の職場の裏側に
なる為、働いている自分は気付く事はありません。
急な階段を使用すると自分の職場の真ん前に降りる事になり、
直にわかる事になります。
会社の建物内で実施した他の社員の送別会の時に酒を
注ぎに行った際、
自分「最近、早く帰るようにしたんですか?夜に合わないですよね。
ひょっとして何かヤバいもんでも見たんですかw?」
上司「えっ、ああいつものように22時頃までやってるよ。
もう階段じゃなくエを使ってるんだ。でも・・・やばいものって何のこと?」
上司がちょっと険しい顔で聞いてきた。酒の席だったので
冗談めかして昔のエであった事を少しだけ話した。
話を聞いた上司がこの後外で2人で飲もうと誘ってきた。
上司は自分より一つ年下で話しやすかったのでOKして
送別会終了後、近所の飲み屋で落ち合って再度飲みだした。
上司が着任当初にエではなく、薄暗い階段を使用していたのは
一応エは物販の運送用で人のみの使用は禁止が決まりの為。
最初はお互いの馬鹿話、だんだんと仕事の話へ・・・。
そこで自分の体験した事をかなり詳しく聞かれ全てを話した。
上司はこの建物であった事件を家でも会社からも知らされて
いなかったようで根掘り、葉掘り聞かれた。
上司「実はエを使わなくなったのには訳がある。
いつものように階段を使って下に向かう途中3階の踊り場で
変なものを見た・・。」
急かされないのでもう少し続けます。6の話最後の一文の
「実はエを・・・は「実は階段を・・の間違いです。
8か9で終わらせます。以下は上司から聞いた内容です。
上司は踊り場で物凄く恐ろしい顔でこちらを睨みつける
おばさんを見たんだとか。薄暗い階段ではあるのだが
輪郭から色彩まではっきりとわかるぐらいでそのおばさんを
見てしまいおもわず何かあったのかな?と思い
上司「どうかしたんですか?清掃の方ですよね?」
おばさん「・・・。」
何も答えないおばさんを不思議に思いながら、どうしよう・・・
と再度声をかけようとしたところで
おばさんが急にパッと消えてしまったとの事。
上司もえっ、と驚き急いで5階の事務所に戻り、気を落ち着かせ
てからエを使って帰宅したらしい。
警備員さんは巡回中で警備員室に不在だった為、警備員さん
には何も告げずに帰宅しやはりその事は誰にも言えず
気にかかっていたらしい。(かなり大きな会社の次期社長の為、
変な事は言えないらしい。)
自分が見た場所、事故があった場所はエ周辺なので、
何故階段で目撃したのか?
辻褄があわないが、上司がみたおばさんは間違いなく
清掃会社の制服を着ていたとの事。
自分は小柄なおばさんだったという事は間違いないのだが、
服装や表情はイマイチはっきり記憶がない。
結局この話は会社ではしないでくれと頼まれ、家で社長に
相談してみるとの事。
上司は階段を使うのが怖いらしく、ビビりながらしばらく
エを使って帰宅。わざわざ一階の自分の職場まで立ち寄って
上司「今日は大丈夫、何も出なかったw」
少し後に休日を使って建物をお祓いをしたと上司が教えてくれました。
今は自分も上司も例の建物とは違う別の県の営業所で
働いているため、お互い話す事はありません。
自分はお盆前の予定で実家の仕事を継ぐために退社する
予定なので、この事を会社の人間に話す機会が
なくなりそうなので、あまり人気のないスレを選んでついつい
書いてしまいました。ごめんなさい。
今も事故のあった建物は何事もなく使用されています。
お祓いの効果がある事を信じたいものです。
終