20年前、小学校の頃の実体験。初投稿になります。
当時通った小学校は地域に複数あった学校を統廃合して
作った、田舎にしては立派な新校舎だった。
簡単に表すと、
(住宅地側)校庭 土手と階段 畑や花壇 校舎
下駄箱のある渡り廊下と特殊な施設 体育館 裏庭(草原と山側)
こういう立地になっている。
そして当時は週一回に2時間目と3時間目の間の20分の
休み時間のうち数分を使って、
音楽を流している間校庭のトラックを周回するという
校内小マラソンの時間があった。
今聞くとダルそうに聞こえるけど当時はみんなで
いくらトラックを回れるかで熱くなって競っていた。
ここまでが前提になります。
その日は小マラソンがある日の2時間目の体育の授業で、
私は体育委員でした。
音楽が鳴り始める前にみんな校庭に行きたくて
ウズウズしており、挨拶が終わるや否やみんな一斉に
下駄箱に向かっていき、
委員である私は授業に使ったコーンやボールを1人で
片づけることになってしまった。
委員は二人組制だが、もう一人の体育委員の女子は
体が弱く休みがちで今日も例によって欠席していた。
先生は優しい先生だがその日に限ってなにか用事が合ったのか
「悪い、(私の名前)。頼むな」と小走りで体育館からいなってしまった。
上に書いたように体育館と校庭にはかなり間が開いており、
校庭に集まっている生徒の喧騒も校舎と渡り廊下の距離に
遮られて、休み時間はバスケや縄跳びにくる生徒で賑やかな
体育館も今はしんと静まり帰っていた。
やっとこさ道具を片づけて自分も校庭に向かおうとした瞬間に
それは来た。
ガン! ガン! というなにか重たいものを床に叩きつけるような
音がステージの薄暗がりの裏手から聞こえてきた。
静まりかえった体育館に響いた音に私はびくっと立ち止まって
ステージに視線が釘づけになった。
悪ノリの好きなクラスメイトのからかいなのか、それともよく
生徒立ち入り禁止区域で作業している用務員さんかとも
思ったのだが、前者は体育館からでていくのは確かに見たし、
後者は校内小マラソンにはいつも必ず出席して運動の
苦手な子を励ましながら走っている。
その間もガン! ガン!という音だけは鳴り続けており、
私は思わず「誰ですか!」と叫んだ。
人の気配を感じないこともおり、実は設備かなにかの
機械的な音かもしれないと淡い期待があった。
しかしガン! ガン!というと音は私の声に反応するように
ワンテンポ遅れてからまた同じように再開した。
なんらかの機械的な音では無くて誰かが鳴らしている
音であるということが分かったと同時に、
人の気配は一切感じないのにただ意思の込めた無機質な
音だけが鳴り響いているという不気味さに鳥肌が立った。
私はその場から逃げようとしたが、目はステージに釘付けの
ままで足強張って動かない。
後から降り返ると霊的なことではなくてただビビって
動けなくなっただけなのだが、
パニックになった私が眼だけを動かしているとステージ裏に
入るための扉が半開きになってることに気付いてしまった
そしてそれに気付くのを持っていたかのように、ガン! ガン!と
いう音が裏から扉に一歩近づいて来たような気がした。
私は恐怖から頭が真っ白になったが、そのときちょうど
小マラソン開始を合図する音楽が全校放送で鳴りだした。
同時に体が動くようになった私は反射的に体育館を飛び出し、
靴をはき替えずに下駄箱から外に飛び出した。
鳥肌が止まらない私はそのまま用務員さんと一緒に走る
集団の中に紛れて何周か走った。
小マラソン終了後に恐る恐るバスケやなわとびをしにきた
生徒で溢れた体育館に行き、ステージ裏を確認してみたが
何もなかった。
あれだけ叩きつけるような重い音なら床に傷でもついてそうだったが、
そんなものは一切なかった。
その後似たような経験は一切無く今まで過ごしています。
音の理由がわかりませんが今でもあの音を思い出すと
本当に鳥肌が立つ。
今でも山の上に立つ小学校の近くを通ると思いだす体験。
なんだったんだあれ……