奇妙な話

【不気味な話】柱時計

939: 本当にあった怖い名無し 2012/04/20(金) 18:18:26.54 ID:NlsdJey/0

子供の頃おばあちゃんの家に1m60くらいのでかい柱時計が
あって、その振り子の揺れる音が嫌だった。

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普通の振り子は〝カッチ、カッチ〟って音を想像するだろうけど
おばあちゃんの家のは違って。
でっかい振り子が〝ギィ、ギィ〟って揺れる音がしてた。

おばあちゃんの家ではいつも二階で寝てたんだけど。
寝てる部屋の入り口のすぐ脇から一階への階段が伸びていて、
階段を降りたすぐそこに柱時計があった。

だからいつも、夜寝静まると階段の方から柱時計の振り子の
音が聞こえてくる。延々と。

その音だけで不気味かもしれないけど、自分が嫌なのは
音そのものじゃなかった。

一階から二階への木製の階段を踏みしめた時の
〝ギィー、ギィー〟って音が振り子の音に似てたんだよ。
だから、まるで誰かが階段を登って来てるみたいに聞こえるわけ。

でも実際は振り子の音だから、その音は延々と鳴り続ける。
真っ暗な中、聞こえ続ける音と何かが階段を登ってくるイメージ
を想像してしまって。いつもなかなか寝付けなかった。
少し怖かったけど。親と同じ部屋だったし、毎回だから慣れてた。

続きます

 

940: 本当にあった怖い名無し 2012/04/20(金) 18:23:35.90 ID:NlsdJey/0

続き

で高校くらいになって久しぶりにおばあちゃんの家に行ったとき、
一時期置いてなかった柱時計が、昔と同じ階段のそばにあった。

「あーこの振り子の音が不気味だったんだよなー」と前述した
事を思い出した。
が、柱時計の振り子の揺れる音はほとんど無かった。
耳を近づけると〝キィ、キィ〟と小さく聞こえるくらい。
「あれ?」っと思いつつ。音が鳴らなくなったのか、記憶が
間違ってるのか少し考えた、まあ音がならなくなったんだろうと

次は階段を登ってみた〝ギィー、ギィ〟「そうそう、これこれ」
こっちは記憶どおりの音だ。
「確かにこの音だな」とそのまま二階に上がり寝ていた部屋を
確認する。
階段からすぐそこの部屋の入り口、その近くで寝ていた。

振り向いて一階をみる。柱時計が少し見える。
なんか、思ったより遠い。
というか一階から二階まで聞こえる音ってありえない。日常的にかなりうるさいはず。
でも振り子の音がうるさいとかの記憶はない。
実際に昔、振り子の音が鳴っていたとしても、とても二階に
届く距離じゃないし、思い返すと夜寝る時以外に振り子の音を
聞いた事がない気がする。

ただ確かに、眠る前に真っ暗な部屋で延々と聞こえる
階段からの音は覚えてる。
木材が軋むような〝ギィー、ギィー〟って音。
踏みしめてる階段と同じ音だった。

一階でもう一度振り子の音を確認した
音は当然ちがう。
もう一つ気づいた、振り子の揺れるペースが、眠る前聞いていた
あの音よりずっと早い。
あの音はもっとゆっくりだった
それこそ人の歩く間隔のような
真っ暗な階段で延々と鳴ってたあの音は何だったんだろ
そして自分はなぜ振り子の音と思い込んだんだろ

 

 

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