当事四歳の娘を連れて伊豆に家族(主人の両親もありで)
旅行に行きました。
うっかり娘が毎日一緒に寝ているパペットを忘れてしまい
ぐずりだした娘を落ち着かせようと部屋をでました。
主人の両親が起きてしまうと申し訳ないのでそのまま廊下を
渡り、薄暗いロビーに行きました。
時間が深夜なのでフロントにも誰も居ません。
その頃には娘もすっかり目を覚ましてしまいたくさん置かれて
いる赤いソファに座って遊びはじめてしまいました。
困ったなと思いつつ自分も眠くはないのでしばらく一緒に
小さくお話したりじっくり見ていなかった旅館の内装なんかを
見たりしていました。
ふと気がつくと娘が光があまり届かない奥にあるソファに
手を置いたままぴたりと動きを止めています。
じっと、何かを見つめていました。視線を辿ると一番奥の
ソファを見ています。
そこからなるべく目を離さぬようにしてゆっくりとこちらに来て
私の手を握りました。
「ママ…」
そっと呟いた直後、私のひざにしがみつき
「いやだあー!来ないで!来ないでえー!あっちいってえー!」
と凄まじい声で叫び始めました。
あまりの声にこちらがしばらく動けず娘を凝視していると
娘は凄い勢いで私を押し、さらに泣きながら叫んでいます。
ようやく金縛りがとけた私はとるもとりあえず娘を抱いて走って
ロビーを離れました。
明るい電気がついたままの風呂場にとりあえず滑り込み
泣きじゃくる娘にどうしたの?と声をかけると
「イスにおじさんがすわってたの、顔が半分ぐちゃぐちゃの
人だったの。その人が…」
娘は唾をのみ込んで涙がぽろぽろ流れたまま
「その人の顔が目の前にきたの、しゃがんで…こっち見るの」
もう今はいないよ、と娘は言いました。
私自身は全く見えなかったし、心霊体験も皆無ですが、
娘はたまに今でも見たりしています。
「ぐちゃぐちゃさん」の話はなかでも私が怖かった話です。
読みづらいかもしれませんが、読んで下さった方ありがとうございました。