小学生の頃の話
学校から帰宅して、テレビ見てたら祖母から電話がかかってきた。
内容は、隣家に住んでる祖母の叔母(おんば)がいなくなった
から捜すの手伝えとのこと。(親戚一同呼ばれた。)
それから両親が急いで捜しに行った。残念ながら自分は留守番。
おんばは鶏飼ってて、卵売り歩いたり、山菜採りに山に入ったり
する人だった。
ただ、ちょっとボケてたからどっかで迷ってんのかなと思ってた。
夜8時頃、心配になって母に電話。
『まだ見つからない。9時になったら警察に連絡入れようと思う。』
秋口だったから凍死の心配はないが、もし事件に巻き込まれて
たら…と嫌な考えが浮かんだ。
9:30に母からおんばが見つかったと電話が入った。
ホッとして両親の帰宅を待った。
しばらくして両親が帰宅。
『おんば大丈夫なの?』『警察呼んだの?』『どこにいたの?』
と質問責め。
父は仕事終わってすぐ捜索に駆り出されたため、かなり疲れて
いたらしくスルーされたが、母が答えてくれた。
・怪我はないが、一応病院に運んだ。
・警察呼ぼうとした時に山の斜面に倒れているのを父が発見。
倒れていたが、呼びかけたら起きたらしい。おんばを一度家に
運び、何があったのか聞いた。
『山菜採りしてたら、足が滑ってバランス崩して落ちた。』
一同、事件じゃなくて良かったと胸をなで下ろしそれぞれ帰宅。
母も帰宅しようと支度してると、おんばに手招きされた。
具合でも悪くなったのかと思って近づいたら、小声で
『本当は死んじゃうはずだった。』ととんでもない事を言われた。
バランス崩して落ちたのは本当だけど、本来なら助からない場所。
『ああ、もうダメだ。死んじゃうと思ったらね、上から長い白い手に
腕を掴まれて助けられたんだよ。』
母は幽霊なんか信じてないが気味悪いと言って話し終わった。
>>56続き
これだけなら、良い話だと思う。
助けてくれるなんて優しい幽霊もいたもんだと。
今日、97歳でおんばが亡くなった。死因は老衰。
線香上げて帰ってきて、母に『あの時は助かって良かったね。
白い手だっけ?守護霊かなんかだったのかな……。』と
何気なく言ってみた。
『は?あんた何言ってんの?おんばは白い手に下まで引きずり
込まれそうになったんだよ?それに、白い手が助けたなんて
一言も言ってない。』
お互いに食い違い、気まずい雰囲気になったので
すぐ話題を変えた。
どっちの話が本当なのか、実際体験した本人が亡くなって
しまったので確かめようがない。
因みに、母はボケや精神疾患はない。
もし、助けたんじゃなかったらと思うとゾッとする。