今から12年前の実体験カキコしていいかな?
何回かカキコする事になると思うから、適当にスルーして下され。
「あれは忘れもしない・・・」と始まりたいところだが、実際のところ
詳しい日にちまではすっかり忘れた。ただ暑い日だった事は覚えてる。
その頃(12年前な)俺は宅急便の仕事をやめて、長距離専門の運送会社
に入社したんだ。その会社は県内でも有名な程、運チャンに対して待遇の
いい会社で有名だったし。高速は乗り放題だし。そんな会社に入社出来て
「ラッキー」とか思ってた。与えられたトラックはちょい古かったけど。
「入社して最初のうちは近距離の仕事を何本かしてもらうよ」との事。
ある日N県に行ってくれと言われたんだよ。ここからが本題。
N県に行く為にG県を走ってた。A市に入ると、右車線工事中の為片側
交互通行。時間帯は比較的早かった気がする。多分23時30分くらい。
結構長い距離の工事らしく、渋滞もそれなりにしてたんだ。俺はタバコ
プカプカしながら渋滞にはまってた。
そしたらこう言っちゃ失礼だが「加齢臭」が車内に漂ってきたんだ・・・
俺は「なんだぁ?もしかして俺?」なんて思いながらもまだ停車中。
今度はいきなり耳が遠くなったんだ。すぐ前でしてるはずの工事の音も
そんなに気にならないくらいに。
トラックの運転席の後ろには寝台っていう簡易ベッドみたいなもんがあ
るんだが、ホントに俺の真後ろの寝台からその臭いは漂ってきてた。
しかも息遣いも聞こえる。俺はガクブルどころじゃなかったよ!しかも、
どうやら「ソイツ」は俺の顔を覗こうとしてるらしい。左肩のほうから
どんどん迫ってくるんだ。
俺は「ソイツ」の顔を見たら終わっちまうかも知れないって思った。
フロントガラスが鏡にならないように身を乗り出して、ガラスと俺のおでこ
がぶつかるくらいの体勢で我慢してた。それでも「ソイツ」は迫ってくる。
そんな時にやっと前の車が動き出したんだ。
チョーきつい体勢のまま、ひたすら我慢した。周りから見たら、ものすごく
変な奴に思われてたかもしれんが、その時の俺はそんな事考える余裕
なんてまるで無し。ひたすらそのまま我慢してた。耳元に「ソイツ」がきた時、もうダメか・・・ってホントそう思った。
「ソイツ」は耳元で間違いなく2回、ため息をついたよ・・・
渋滞を抜けて、やっとスピード出せる頃には隣のM町に入ってた。
俺は無我夢中でそのキツイ体勢のままひたすら走り続けた。
気がついたら「ソイツ」の気配は無くなってたよ。
N県の現場に着いても興奮と恐怖で一睡も出来なかった。
そのまま朝日を見て、生きてる事を実感してた。荷卸してた時も、
「ソイツ」の事を言いたくてたまらなかったけど、
「誰も信じてくれる訳ないやー」って考えてた。
ただ荷卸が終わって、会社に戻るには来た道を戻らなければならない。
でも俺はその道を通る事は絶対にしたくなかった。だから遠回りをして
T市経由で帰ったが、遠回りの為か、会社に着いたのは予定時間より
3時間も過ぎてた。新人だった為か、みんな心配して待っててくれてた。
ホント嬉しかった。
常務からは「どっかで寝ちまったか?」なんて言われ、「えぇ、すみません」
とだけ返事したよ。
運転手控え室にも、この日俺の歓迎会を開くために沢山の先輩が
集まってくれてた。みんなに「遅いぞ!」なって冷やかされてるうちに、
なぜ遅くなったのか理由を言わなきゃいけない羽目になった。
「いやぁ冗談じゃなくー、A市で恐怖体験しちゃいました!!」って言った
瞬間、みんなの手が止まったんだ。みんな俺に大注目してるし。
なんだろ?
みたいな感じだったよ。
俺はA市で「ソイツ」に会った事、「ソイツ」のおかげで遠回りして帰って
くるのが遅くなった事を話したんだ。
ある先輩が「ちなみにA市のどこら辺?」って聞いてきたから、
忘れもしな い、ずぅぅぅぅっと止まってた交差点名と近くに○○電気があった事、全部話したんだ。みんな硬直してた。そのうちみんな目を合わせながら「どうしよう?」ってな感じで目で会話してたからさ、「すっごく気になるから
教えて下さい!」って言った。教えてくれたよ。
俺がこの会社に入れたのは、一人やめざるを得ない状況に陥って
しまった事。
その状況とは、その交差点で死亡事故を起こしてしまったから。
死亡させてしまった相手方は、老人の男性。
「A市のどこら辺?」って聞いてきた先輩が、事故をおこしたトラックを
引きとりに行った際、フロントガラスに多量の毛髪が挟まってた事。
その後、そのトラックを修理して俺が乗っている事。
全部教えてくれたよ・・・
俺は分かったんだ。「ソイツ」は老人男性で間違いないよ。その老人は、
死亡の直接原因となった俺が乗っているトラックを、あの交差点で
ずっと待ってたんだ。やっとそのトラックが来たからいざ乗ってみると、
運転しているのは全く別の男(おいら)だった為、悲しみのため息を
ついた事。
やっぱり俺は顔を見られてたんだ・・・
先輩方大勢ついてきてもらい、常務にこの事を報告した。
「そっか・・・・・分かった。」何日後か忘れたが、俺のトラックを目の前
にして、神主が一生懸命変なの振り回してた。俺も一生懸命お願いした。
それから二ヶ月くらい経って、その交差点を通ったけどなんも起きなかった。
事故を起こした先輩(見たことないが)は、それ以来音信が取れないって。
どこでなにしてんだかー。