土曜日、学校から帰って来たオレは母ちゃんと台所で昼飯のラーメンを食っていた。
しばらくして、同じく小学生だった弟が帰ってきた。
小学生の頃の話。
土曜日、学校から帰って来たオレは母ちゃんと台所で昼飯のラーメンを食っていた。
しばらくして、同じく小学生だった弟が帰ってきた。
「ただいま~」
いつものように台所横を通って階段を駆け上がり、部屋にランドセルを置きに行く弟。
「ラーメンするよ~」
「うん」
弟の分の袋麺をあげてゆがきだす母ちゃん。
いつもの土曜日の光景だった。
そこまでは。
数分後。
ラーメンが出来たので弟を呼ぼうとした、その時、
玄関が勢い良く開いた。
「ただいま~」
弟だった。
「え!?」
驚いて顔を見合わせるオレと母ちゃん。
(一応言っておくが、オレんちはオレと弟の二人兄弟だ。)
「お前いつ外出たの?」
「は?」
二階に上がって行った弟が下りてきた気配はなかった。
というか階段を下りてきたら台所から見えるので、気付かない筈はない。
「お前さっき帰ってきただろ…」
「何のこと?」
弟は訳が分からんという顔をしていたが、オレと母ちゃんはもっと訳が分からなかった。
「そのラーメン、僕の?」
「うん…」
ランドセルを置きに階段を駆け上がった弟は、すぐに駆け下りてくるとラーメンにとびついた。
「誰もいなかったか?」
「うん。誰か来たん?」
「……」
弟は嘘をついてるふうでも、オレと母ちゃんをからかっているようでもなかった。
そういえば、オレはさっき帰ってきた弟の姿は見たし声も聞いたけど、顔は見てない。
だったら、さっき帰ってきたのは……?
あれからもう10年くらい経つが、人死にとかの悪い事は起こってないし座敷わらしか何かだったのかなぁ。
(にしては、良いことも起こってないけどw)