小学生の頃、クラスの男女隔てなく仲が良くて、ある日10人くらいで肝試しに行くことになった。
1クラス20人弱の田舎小学だから相当な参加率だ。
小学生の頃、クラスの男女隔てなく仲が良くて、ある日10人くらいで肝試しに行くことになった。
1クラス20人弱の田舎小学だから相当な参加率だ。
目的地は隣の学区にある護国神社。
そこには防空壕があり、戦争中そこで死んだ幽霊が今でもいるという専らの噂で「誰々の兄ちゃんが襲われた」とかそんな話があった。
集合時間は夜22時、昼間に防空壕の場所を見たことがあるY君を先頭にみんなでキャーキャー言いながら神社の長い階段を上がった。
大きな鳥居をくぐると左手に土俵、右手に社、正面にはさらに上に続く階段と鳥居があり、僕たちはその階段を登った。
だんだんみんなは疲れと緊張が混ざって無口になり、「やっぱり帰ろうよ」と言う奴もいた。
僕も本当は帰りたかったがずんずん進むY君と数人を見ると格好悪くて言えなかった。
二つ目の階段を登りきるとそこには本殿?があり、その裏に回り込むと小さな獣道があった。
その獣道を少し進むと森が開けてせり出した崖にぶつかり、そこにぽっかりと草に覆われた穴があった。
月明かりがかなり強い晩で懐中電灯をもって無くても互いの顔が見える位だったけど、さすがに防空壕の穴は真っ暗で、じっと見ていると吸い込まれそうだった。
するとY君がいきなり「中に入ろう」と言い出した。
ここまで来るうちにビビりきった僕と何人かの女の子は一斉に反対した。
しかしY君はじめ、いちびりな数人は絶対中に入る!と言って草をかき分けて穴に近づいて行った。
すると穴の方から「来るな~」という男の低い声が聞こえた。
その瞬間みんなはあまりの恐怖に叫び声すら上げれず固まった。
続いて「おー」「うー」といううめき声も聞こえて来た。
Y君たちも固まっている。
ふと穴を凝視すると真っ暗な穴の中で何かが動いている。
見間違いかと思ったが確かにいる。
白っぽくぼんやりした自分たちと同じくらいの大きさのものがもぞもぞと動き、だんだんはっきりとしてきた
一斉に女の子達が悲鳴を上げた。
その瞬間、白い何かは大人ほど大きくなったかと思うと一番近くにいたY君に向かって走るように近づいて来た。
Y君が「ギャー」と叫ぶと一目散にみんなは軛を返し走り出した。
「本当にいた!」「Y君が捕まった!」パニックになりながら走った。
女の子はみんな泣いていた。
逃げなきゃと思うほど、足に力が入らない。階
段を降りる途中こける奴もいた。
でも誰も助けなかった。
気がつくと走っているのは僕と女の子だけだった。
皆も捕まったのかと思うと、Y君の「おーい、大丈夫大丈夫!」という声と同級生の笑い声が聞こえた。
その時にやっと気付いた。騙されたのだ。
逃げていた何人かと照れ笑いしながら防空壕に戻ると、そこにはクラスメイトと白いシーツを肩にかけたY君の兄ちゃんと友達がいた。
Y君の兄ちゃんはニヤニヤしながら「いや~、面白かった~!」「だいたいここ、戦争中使われたこと無いしw」と僕たちをバカにすると懐中電灯で穴の中を照らした。
穴の奥は深いようだったが3メートル位のところで柵が張ってあり、それ以上奥には行けなかった。
どうやら全部Y君が仕込んだらしい。
みんなそれぞれ安心しながら「お前はカッコ悪かった」とか互いにバカにしあっていると、Y君のお兄ちゃんとその友達が背を向けている真っ暗な穴の中からからポーンと何かが飛んできた。
ポーンポーンと弾むそれは、真っ赤な鞠だった。
そこからは全員で悲鳴を上げながら走って逃げた。
翌日Y君をみんなで問いただしたが、Y君はその話をする度に「俺たちじゃない」」本当に悪かった」としか言わなかった。
連投すみませんでしたm(_ _)m実体験です