ほんのり怖かった話。
昔友人とその友人のじいちゃんの家へ泊まりにいったことがある。
じいちゃんとは面識あり。
顔を合わせれば酒をすすめてくる様な愉快な人だった。
ちなみにばあちゃんは何年も前に鬼籍に入っている。
案の定大量の酒とともに迎えられ
泥酔→嘔吐→トイレで寝る
という失態をやらかした後布団に移動し寝てたのだが
寝てる時にふと背中に冷たい感触。
水がポタポタ落ちて背中をつたっている。
しばらく続いていたが朦朧としてたので「冷てえなぁ」と思いパジャマの背中をがしがし擦りながらそのまま寝落ち。
翌朝起きてよく考えてみると、なんだか妙な話だ。
友人に話すと「夢かばーちゃんがおこったんじゃね?」とゲラゲラ笑いながら言われた。
よくよく考えると酒宴の部屋にはお仏壇と遺影が。
なんだか怖くなってお仏壇を前に必死に謝罪。
その後同じようなことはなく、あれは多分夢ということですっかり忘れて1年を過ぎた頃。
友人の彼氏と彼氏の友人にドライブに誘われる。
はじめは普通にアミューズメント的な所に行ったりしてたのだが、そのうちメンズが心霊スポットへ行こうと言い出した。
友人は零感だが怖がり、自分も同様で嫌がったがそれが面白かったらしく結局そこへ向かうことに。
そこは国道から少し離れた水田が大きく広がってる所で、その真ん中にポツンとでかい公園と火葬場が一緒になっているというなんともいかがわしい場所。
そこを3周すると出るとかありがちな設定。
ただ街灯もほとんどないため雰囲気は本当に怖い。
なもんでおびえる我々、それに気を良くして「はい1周目ー」なんてやりだすメンズ。
2周半ぐらいで我々マジギレで中断し戻ることになった。
暗い農道を抜け国道に入りホッとした時。
左の大腿に突然ボタボタッと水が落ちた。
これあの時と同じ?
ボタボタ落ちる水、大腿をつたう水。
コーデュロイの長パンツ。
さわっても乾いているのにももの感触は濡れている。
生地つかんでゴシゴシしてもおさまらん。
思い切って後ろをみるが何も見えん。
ここで「キャー」なんて言ったら車内が騒ぎになっちまう。
とりあえず、後部座席で目を閉じひたすら手を合わせ念仏and謝罪。
すいませんすいませんもう二度とおふざけでこういう所に来たりしません許してください南無阿弥陀仏。
しばらくこれをエンドレスで繰り返し気づいたら水の感触は消えていた。
数年後、友人がその話をしているときに
「あん時何が怖かったって帰りにずっとあんたが隣でおがんでたことだった。」と、
笑いながら言われたが、
帰りに何も起きなかったのはあのおかげだと自分は今でも思ってる。
ちなみにあの時の約束を今でも守っているせいか水が落ちてくる現象はなくなった。