少なくとも俺には死ぬほど怖かった話。
俺には幼馴染が二人いる、俺がY(男)幼馴染K(男)幼馴染A(女)としよう。
俺達3人は小さい時から親同士が仲よくて付き合いがあり、3人とも中学に上がるまでかなり仲がよかった。
そして、小学校を卒業する時に3人でタイムカプセルを埋めようって事になった。
20歳の成人式が終わったら掘り起こそう、そう3人で約束して、
3人とも思い思いの物と、自分宛の手紙をいれた箱を用意して広場の木の下に埋めたんだ。
中学に上がると、クラスで分かれたりしてKとは時々話したけど、Aとは殆ど話さなくなった。
そして中学を卒業すると、俺は地元から遠い進学校、Yは地元の高校、Aは女子高に行って、もう殆ど会わなくなった。
帰ってきたときKとは時々会うけどAとは全然会わなくなった。
男と女だし、女子高行ってるし、普通だと思う。
高校2年になると塾やら受験勉強やらでKとも殆ど会わなくなって、大学にはいったらメールを時々するくらいになった。
なんとか大学に進んで今になる。
そんで俺も20になるけど、タイムカプセルの事はなんか覚えていた。
だからタイムカプセルを埋めた広場を久しぶりに見に行ったら、駐車場になって、マンションが建っていた。
中に何をいれたか良く覚えて無かったけど
小学6年の入れるものだから大したものではないとは思った。
一応Kに連絡を取ると、家に来てほしいとの事だったので、Kの家に向かった。
Kの家には回収不可能になったはずのタイムカプセルの箱が3人分あった。
工事が始まる前にKが掘り起こしていたらしい、
「おぉ!Kナイス」
ガラクタが入っているだろうとはいえうれしかった。
成人式に開くと言っていたが、まぁいいかと箱を開くとやっぱり中はガラクタだった。
とはいえ、懐かしくも感じ、掘り出していてくれていたKに「ありがとう」と感謝した。
するとKは「ごめん」と謝り出した。
なんでも掘り出した後、好奇心で3人の箱を開けて中身を見てしまったのだという。
恥ずかしい自分宛の手紙を見られたことは嫌だったが、笑いの種になるから別によかった。
「Aにも箱は無事っていわないとな」
そう俺がいうと、Kは俺に言った。
「Aにはこの箱はマンションの下に埋まったままってことにしてくれないか?」
「あぁ、勿論Aの中身見たことは言わないでおいてやるからさ(笑)」
当時からAは怒る時は怒るやつで、それが結構な剣幕だったから多分Kはビビってんだろうな。
そう思った。
「いや、そういうことじゃない」
Kの声は何か真剣だった。
お前も中見てみろ。
そうKは言った。
勿論俺だって見たくない訳じゃない、Aは当時結構可愛かったし、明るい性格だったからぶっちゃけ好きだった。
そのAが何を入れたかはとても気になる、そういえばAの自分宛の手紙に俺、Yが好きとか書いてあったらどうしよう、なんて当時は思ったものだ。
「おお、んじゃ、共犯になったるよ。」
そう言って俺はAの箱を開けると、中にはナイフと手紙しか入ってなかった。
ナイフと言っても市販されてるリンゴとか剥く小さい包丁だった。
「りんごが上手く剥けるようになりますように」とでも書いてあるのかな?
と、手紙を手に取るとそこには
「20歳の私へ、まだ続いているのならこれで父を殺してください、お父さんを絶対に許さない」
見たいな事が書いてあった。
絶句、という表現が一番正しいだろう。
いや、仰天かな。
あの明るいAが・・・そう思うと何か怖くなってきた。
Aの家族は父子家庭で、とても仲のいい家族に見えた、
しかしこれでKがAにこれを見せたくないと言うのは分かった。
想像力豊かな俺はAが父親を憎む理由をなんとなく理解した、あくまでも想像の範囲だが。
今のところAの父が死んだなんて話は聞いてないから、もしかしたらAの悪戯なのかもしれない。
だが俺の心にAに対する強い恐怖が生まれたのも事実だ。
今年度成人式な俺もKもこのことはAに黙っておくつもりでいる。