父はいつもすぐに寝てしまった
母はうとうとしながら俺が寝るのを待っていてくれた
俺は寝るのが苦手だった
なぜなら隣のリビングから音が聞こえるから
食器が動き、カチャカチャと小さく鳴ったり、ドアがガタガタと動く気配がする
時には大きく閉まる音も聞こえた
でも足音とかは聞こえなかったな―
何度も母に怖いと訴えたが、子供の戯言としかとらえてくれなかった
母には何も聞こえていなかったらしい
今では毎日ではなくなったものの自室のドア前から
たくさんの布が通り過ぎたりコツコツと壁を叩く音がする
やっぱり俺は寝るのが苦手だ