俺は社会人6年目にしてようやく一週間という長期休暇をもらった。
ゴロゴロして過ごすのはもったいないから、男友達二人と海に行くことにした。車で二時間の旅。バカ言ってすごした。
海につけば人がたくさん居て賑わってた。
こういうバカンスで重要なのは宿だ。
俺達は民宿を予約してた。
3泊4日。丁度いい感じ。
俺は民宿に行ったことないから、すごくわくわくしてた。
だけど
悪夢を見ることになるなんて…
14: 本当にあった怖い名無し 2015/03/29(日) 22:33:30.234 ID:eAQbk28HaNIKU.net
>>8
海ではしゃぎまくった。
日焼け止めなんぞ全くしてないから、思いっきり日焼けした。まぁ別にいいや。
夕日を見てそろそろ民宿に移動だ。
ナビをみながら…
ここ右…あ。こっちを左か…って違うじゃん。
てな具合で迷いながらも着いた。
民宿の玄関をくぐると女将さんが正座して待っててくれた。
「お帰りなさい。」
なんかアットホームだ。
俺達は部屋に入る。二階だ。
10畳ほどの和室。
俺はわくわくが止まらなかった。
>>14
廊下の所に何故か漫画の本棚があった。
ハンターハンターが全巻そろっておる!
これはポイント高いですよ。
ごはんもすごい美味しかった。
二階に上がる階段の踊り場。
そこに戸があったんだ。
引き戸みたいな感じ。
そのときは気には止めなかった。
俺達は海ではしゃぎまくってすぐに就寝。
俺は夜中にトイレに行きたくて目が覚めた。二階にもトイレがあるんだけど、何故か1階へ行った。
そして階段踊り場の戸。
俺、開けちゃったんだよ。
月明かりが差し込んでくる小さな部屋。
その中心にあったのは。
小さな壺。
>>16
なんか陶器の壺じゃなくて、プラスチックみたいな質感の壺。
なにこれ?
なんとなく近づいて
なんとなく中を覗き込んだ。
なんか豆みたいのがたくさん入ってる。楕円形というか細長いというか…
俺はちょっと怖くて部屋に戻って寝た。
次の日は山に行ってバーベキュー。蚊に刺されまくった。
その日の夜は酒飲みながら談笑してた。でも疲れて就寝。
でも俺はあの壺が気になってまたあの部屋に行くことにした。
>>21
あった。壺があった。
同じ中心に小さな壺。
俺の興味は壺じゃなく、壺の中身。
壺を傾けて中身を手のひらで少し出す。
豆みたいのが4、5個出てきた。
俺はその豆を月明かりに照らして確認した。
俺は血の気が引いた。
嘘だろ…
これって…
歯だ…
>>23
しかも血が着いた痕跡がある。
ザラザラしてる。
そしたら階段を登ってくる足跡が聞こえてくる。
やべぇ
戸は開きっぱなしだ。
俺はとっさに襖に隠れた。襖の間から壺を見てたら
女将さんが壺に何かを入れた。
歯だろ。
俺は予想した。
なぜ女将さんとわかったのか?
次の日の朝に女将さんから話を聞かされたからである。
>>29
女将さん「あの、そこのあなた。ちょっといいかしら?」
俺「はい?俺ですか?」
女将さん「えぇ、ちょっと別室へ。」
なんかスタッフルームみたいな部屋に案内される。
お茶を出され、女将さんが口を開く。
「昨夜、あの部屋にいましたね?」
「いや、なんのことだか…」
「そんな隠さなくてもいいですよ。今からお話します。あの壺について。」
「…」
「あの壺はですね。一種の封印みたいなものです。ここの土地は昔、津波の被害が多かったのです。老若男女波にさらわれました。
数日するとその死体が海流に乗って違う海岸に干されてました。死体は水を含んでブクブクに膨れ上がって、見るも無残な死に様でした。遺族は形見として歯を抜き取っていました。
その歯はここの民宿の土地に納められていました。時代は進み、やがて納める場所も無くなり、私達があの部屋を設けて封印してたんです。」
「なんか悲しいですね。」
「あの壺から歯を出さなかったですか?」
「出しました。」
女将さんの顔色が青くなった。
>>33
女将さんは震えたら声で俺に言った。
「ここに今すぐ行ってください。連絡はしておきます。」
「今からですか?」
「早くしなさい!」
俺は女将さんの言われた通りにその場所に言った。
民家の中にある。寺みたいな場所だった。
門をくぐると坊さんがいた。
「女将さんから話しは聞いております。とにかく中へ」
お堂みたいな場所に通され、仏像の前に正座した。
坊さんが俺に水だか酒だかわからん液体を吹き掛ける。
坊さん「少しの辛抱です。」
坊さんがお経を唱える。
俺はもうわけがわからん状態だった。
>>35
お経が始まって1分もしないうちに窓がガタガタ揺れ出す。
俺は一気に怖くなった。
その揺れは増すばかり。
坊さんのお経も段々と声が大きくなっていく。
仏像の脇からもう一人坊さんが出てきて一緒に唱え始めた。
窓のガタガタは次第に収まっていく。
時間にして30分ほど。
坊さんのお経が終わって、坊さんが俺に近づく。
坊さんは俺の前に座ると一言こう言った。
「馬鹿者が!!」
>>39
もう一人の坊さんが口を開く。
「あれはですね、あの壺は我々とあの民宿が協力して納めていたのです。波にさらわれる…決して良い死に方ではありません。無念の死に方です。色んな想いが重なり、1つの念の塊なんです。あなたはその念を破った。
無念の魂に更なる無念を重ねたのです。あの魂共々は怒りに狂い、あなたを引きずり込もうとしていたのです。」
「え?どこに…ですか?」
「海の底です。我々が今、鎮めました。もう問題はありません。」
「本当に申し訳ありませんでした…」
それを聞いていた坊さんが口を開く。
「私は今の君に憤慨している。人の想いを勝手に手薄に扱ったのだからな。」
「…」
>>44
あれから何も起こらない毎日だ。
未だにあの時の夢をみる。
人の想いはそれぞれだ。
愛ととることも出来れば
憎しみととることも出来る。
それが幾度も重なれば怨念となる。
これ見てるあなた。
軽率な行動はやめましょう。
ご静聴ありがとうございました。