タイトル:香水の匂い
タイトル:香水の匂い
私は、自分に霊感というものがあるとは思えないのですが、
過去に何度か不思議な体験をしたことがあります。
今日はその中で、鉄道にまつわる話をしてみたいと思います。
私は6年程前、進学のため西日本のある地方から上京し、
卒業後は、そのまま東京で就職していました。
上京して3年目、就職した私は仕事の用事でよく京橋に
行っていたのですが、その日は仕事の前に用事で
渋谷に出かけていたので、渋谷から銀座線に乗りました。
電車は混んでいたのですが、始発駅から乗ったため、
運良く私は3人掛けの座席の真ん中に座ることができました。
その時期、忙しかったため疲れていた私は、そこでウトウトと
うたた寝を始めてしまいました。しばらくして…
急にすごくキツい香水の匂いで私は目が覚めました。
しかし、その時は、相当疲れていたので、そのまま顔を上げず
首がうなだれた状態で足元をチラッと見ました。
すると、赤いハイヒールが目に入りました。
『あぁ、なんか派手そうな女性だな、銀座にでも行くのかな?』
と思いましたが、電車のアナウンスに耳を傾けるとまだそこは、
まだ虎ノ門駅でしたので、私は
『京橋まで少しあるしまだ休めるな…』などと考えていました。
そして次の駅、新橋で私の左に座っていた方が立ち上がり、
降りて行った様で、先ほどの赤いハイヒールの女性がそこに
スッと座ってきました。
依然、首をうなだれている私がすっと目を開くと、綺麗な白い手に
赤いマニキュア、黒いワンピースの様な服を着ている女性が
目に入りました。そして、新橋ではゾロゾロと人が降りて行き、
一気に空いた様でした。
などと考えていると、隣の女性が軽く咳払いをしました。
その色っぽい咳払いにその女性が一体、どんな人なのか
気になってきて、顔を見てみたくなりました。
顔を上げ、直接見るのも失礼かと思ったので正面の窓に写る顔を
確かめようとしました。
するとそこには女性の姿が無く、驚いて思わず左を見たのですが
やはり、私の左には誰も座っていませんでした。
私は恐怖と驚きで思わずキョロキョロと周りを見渡しましたが
その様な容貌の女性はどこにも見当たらず、ただ、キツい香水の
匂いだけがその場に残っていました。
これは私が寝ぼけていただけなのでしょうか。