怖い話

【不気味な話】雪国のトンネルで・・・

944: 2007/06/07(木) 13:49:48 ID:05FjsPwO0

20140828b
 

昔、日本海側にカニ喰いにいった時の話なんすが。

親と一緒に車でいってて、俺だけ先に帰る用事があったのね。
金はかかって仕方なかったけど、贅沢はいえんから朝早くに旅館でて、
電車に飛び乗ったわけさ。
で、俺馬鹿だから反対方面の電車のっちゃってさ。ガタゴトと
目的地とは真逆の方向にいっちゃったわけね。
電車のってからそれに気付いて、とりあえずこのまま乗り続けてても
仕方ないからって思って降りたんだ。
で、反対方向の電車を待つかって思って時刻表みたら
そこ田舎で雪国だから
冬場とか二時間に一本あるかないかのトコだったわけ。
こりゃやばいって思って、急いで親に携帯で電話かけようとしたけど
山に囲まれて圏外。で、どうしようか悩んだ挙げ句、
用事の方はキャンセルして、とりあえず旅館まで戻ろうと思ったのよ。
でも、電車ないから歩いて帰ろうとしたわけさ。
車道は水吹きだしてて歩き易そうだったし、なにより
確実に迷わずにつけそうだったから一般道を
徒歩で旅館を目指したのさ。

945: 2007/06/07(木) 13:59:36 ID:05FjsPwO0
多分、一時間もかからんだろうなって思ってたのね。
ウォークマン聞きながら陽気に歩いてたんすわ。
歩くの好きだし、まあ、山道を眺めながらハイキングってのも
楽しいだろうってあくまで楽観的。
こん時はほんと、心霊なんて文字一言もなかったね。
朝だし。
しばらく歩いて大分体も温まってきてさ、この調子なら
すぐつくだろうなって思ってたのよ。結構道すべったりして
危険だったけど。時々、車が横を通りすぎていくんだけど
大抵のドライバーは「なにやってんだ?」って顔でこっちも
みてる。「そんな顔すんなら停まってくれよ」って内心思いながら
車を見送る。多分、俺が女の子、子どもに見えたならすぐにでも
声をかけてもらったんだろうけど、見かけオヤジだったからなあ。
でもまあ、気にせずガンガン進んでいったわけだ。
するとさ、あるのな。やっぱり山掘ってできた道だから。
トンネルが。
一本目は結構短いの。大体50mぐらい。
もうすぐに向こう側が見えてる。
でもやっぱり不気味だからウォークマン全開で
突入。もうガンガン、車が横切っていくから怖い怖い。
別の意味でスリリング。でもまだ楽しんでた。

947: 2007/06/07(木) 14:11:45 ID:05FjsPwO0
一本目を抜けて安堵した矢先に
すぐ目の前にまたトンネルが見えたのよ。
「またかよ」って思ってさらに愕然。
向こう側の明かりが点。「長ッ!」
思わず突っ込むほど。一本目の時も極力、トンネルの壁とか
気にしないようにしてた。オカルト嫌いじゃないけどこんなトコで
出くわしてもおれ徒歩だし。逃げようがないじゃん、トンネルって。
まあ、朝だし、なんにもないかって思いながら中入ったのよ。
トンネルの中ってあんまり昼とか夜とか関係ないね。
橙灯が中途半端にぽつぽつついてるだけで外のあかりがすぐに
かき消されてく。で、俺は極力、前と足下しかみてなかったんだけど
田舎だからなのか、すっごいボロボロなのよ。
溶けた雪が隙間からぽたぽた滴ってるし。
で、ふと気付いたのよ。車がこないの。
さっきまでびゅんびゅんきてたのに…中に入って五分ぐらい歩いた
あたりで…全然車が走ってこないの。たまたまなんだろうけど。
なんか急に寂しくなってきた。だって車がきてるから
人の気配がしたわけで…俺がトンネルに入ってから
その気配が全然なくなった気がしたわけ。でさ、
急に冷えてきたの。トンネルの中って普通暖気がとどまるから
ぬくいはずなんだけど、汗が冷えたからなのかどうかは
わかんない。けど、めっちゃくちゃ寒いって思い始めた。

951: 2007/06/07(木) 14:28:24 ID:05FjsPwO0
ガタガタ寒くなって。
そりゃ冬の雪山なんだから当然っちゃ当然なんだけどね。
したらここでまた重なるようにウォークマンの電池がきれたの。
一気に無音。さーーーって血の気が引いていく勢い。
たまにゴォォォォってトンネルの中で風の音が反響しまくってるの。
で、一歩歩く事に自分の足音がじゃりじゃり響く。
もうね、前なんかまともにみれない。大分歩いたかな。
多分、十五分ぐらいして、半分ぐらいまで歩いてたんだと思う。
後ろ見ると、入り口が点。前みると出口が点。
ひたすら、黙々と下だけ見ながら歩きすすんでいったわけよ。
…ふとさ、視界に白い物が目にはいった。
暗いからはっきりと見えないのね。
で、次第に近づくとなにかわかった。
花束だったのよ。
やばいやばい!
って頭の中でぐわんぐわん警鐘なってるの。
ぞわわって鳥肌が足下から首筋かけて来る感じ。
今までそんな体験したことなかったし霊感もなかったから
あれだけど、関節がギシギシ痛む感じがあった。
なんでこんなトコで花束!?って気持ち一杯。
足取りが一気に早くなった。
見たくないのに、壁の模様とかが気になって仕方ない。
所々ひび割れてる隙間からなにかが覗いてるような感じ。
なんでかわかんないけど、ホントになんでかわかんないけど
女がいる。そんな感じがした。どんな事故かも知らなかったし
なにがあったとかも知らない。けど女がいる。

959: 2007/06/07(木) 14:50:27 ID:05FjsPwO0
もうね、人間極限状態になってどうしようもなくなると歌うね。
歌ったさ、でかい声で何故かしらないけど
「はーれるや!」って何度もずっと繰り返し
ハレルヤ歌ったさ。お経じゃなくてなんでかハレルヤだったさ。
「はーれるや!はーれるや!」って全然歓びの唄じゃねえよ。
必死だよ。ただ、不思議と走れなかったんだよね。
走ると本気でついてこられる気がしたから、堂々したフリだけ
みせてさ。もう、急ぎたいけど走ったら来るって思った。
時々さ、視界にひらひら白いの薄い影が散らばるの。
雪だ。これは雪だ。って思うんだ。でももう片方で
トンネルの真ん中で雪が吹き込んでくるわけないってわかってる
部分もある。ひたすらハレルヤだけ歌って自分で自分を笑って
端からみたらおれが怖い人だよ。でも必死でしたよ。
時折、イヤホンしてたから風の音がひゅうひゅう聞こえる。
俺のハレルヤの声が馬鹿みたいにトンネル中に反響してる。

960: 2007/06/07(木) 14:53:18 ID:05FjsPwO0
でも、おれ聞いちゃったんだ。女の悲鳴。
耳で聞こえる感じじゃないんだよ。脳内ガツーンって響くの。
あとはもう必死。とりあえず、トンネルから出たかった。
随分走ったよ。ついてきてるとかそんなのどうでもよかった。
息きらして、トンネルの出口が段々近づいてきた時には
「ああ、よかった出られるんだ」って
マジで安心した。外の明かりが見えて、眩しいなあって思って。
で、はっと振り返ったらさ。まあなんにもなかった。
普通のトンネル。真ん中なんかさ、随分くらいの。よくあんなとこ
歩けたな俺って思いながら…向こう側みようとするんだけど、
ただの暗闇。
若干カーブもしてたっぽい。こんなに長いトンネルだったなんてなぁ。
って思わず笑ってからこんどはさらに背筋がこおった。
じゃあ、俺が入り口で見た、出口だと思った明かりは
なんだったんだ?つうかあんなくらいトコでよく花束だなんて
分かったなぁ…妙に白く目立ってたけど…。
…よくわかんないけど、ほんと出れてよかった。
姿は見えなかったけど、確かに女はいました。

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