その一週間を伯父さんの家で過ごさないかと。
伯父さんは一人暮らしなので、気兼ねなく自由に使ってくれていいと言われた。
夏休みの内の一週間、地元から離れた伯父さんの家で「のんびり過ごすのもいいか、
小遣いもくれるっていうし。」と出かけたんだ。
などを教えてくれてすぐ入れ替わるように出ていった。
気掛かりだったのは、「呼ばれたら返事をしてくれ」と言う伯父さんの言葉だった。
親戚連中と付き合うのが、苦手ではないものの、得意でもない俺は「あ、はい、わかりました。」と
意味がわからないまま流したんだけど、空港に着いた伯父さんから再度「戸締まりをよろしく。
あと呼ばれたら返事をね。」と促しの電話があったのでさらに意識してしまった。
「呼ばれるって…霊的な事か?気持ち悪…」
明確な事はまったくわからなかったので、普通に過ごすことにした。
家のまわりを探索して、コンビニでカップ麺を買って夕食にした。
「はいっ!?」
とっさに返事をしたんだけど〇〇は俺の名字じゃない、伯父さんのでもない。
とっさに返事をしてしまった。
振り返るが誰もいない。
声は寝室から聞こえた。
外へ出ようにも玄関までの道程が恐い。
(三階なので階段かエレベータで一階へ降りなければならない)
降りたとしても明るくなるまでの10時間以上もコンビニにはいられない、
ウロウロする土地勘もない。
電気を付けたまま朝まで過ごした。
それから6日間、毎日一回かならず名前を呼ばれた。
トイレに入れば玄関から、風呂に入れば台所から、かならず声が聞こえてきた。
時間はバラバラで昼間に呼ばれることもあった。
霊的なモノなんだろうとは分かっていたけど、こんなモノかって感じもあった。
あまり考えないようにしたかったのもあった。
六日目の夜、返事をしなかったらどうなるだろうと考えた。
電気の点いていない寝室から聞こえた声に返事をしないまま目をやると、女がいた。
血を流していたりしない普通の女。
ただ、デカかった。
2メーター程の大女。
さすがに逃げた。
伯父さんが帰宅する七日目の日、部屋には入らず玄関の外で伯父さんを待った。
「名前を呼ばれた?」と聞かれ、「はい」と答えた。
「返事は?」と聞かれ「はい、しました…」と答えると、「そうかぁ…」と言ったっきり
なにも言わなくなった。
それ以上なにも聞けなかった。
あの人が人間なのか、霊的なモノなのかは今もわからない
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