そこはユニットバスの1LKでお世辞にも綺麗なところではありませんでした。
引越しを済ませるととりあえず、仕事で使用するPCの荷解きだけしてその日は寝ました。
次の日、新しい職場での仕事を学び、金曜日ということで帰りに新しい同僚と
軽く居酒屋でご飯を食べました。
ほろ酔い気分で帰ったのは11時近くで、その夜家に着くなり布団に潜り込んで寝てしまいました。
2時ごろに喉の渇きで目が覚めました。
水を1杯飲み、部屋に戻り布団にもぐると声が聞こえてきます。
その時は「下の階の人がテレビでも見てるのだろう」と思いました。
しかし、眠れずに逆に目が冴えてきて、その声が部屋の中から聞こえてきていることに
気付きました。
「ひょっとして幽霊!?」
そう思い布団に潜りながら震えていました。どうやら、PCの付近に「いる」ようです。
目が冴えるにつれて、その声もはっきり聞き取れるようになって来ました。
「なるほど、なるほど」
その日はその声に怯えていつのまにか眠っていました。
次の日、私は同じ大阪に住む妹を家に呼びました。(私は天王寺の近くで、妹は梅田あたり)
昨晩の出来事を話すと、妹は鼻で笑い、じゃあ今晩は私も泊まってあげると言い出しました。
そして、その晩、妹がシャワーを浴びているときにまた、あの幽霊が現れました。
ユニットバスの扉付近で「なるほど、なるほど」と声が聞こえます。
それだけでも怖かったのですが、妹が「お姉ちゃん、冗談はやめてよ」と言いました。
それが確信に変わり、私は部屋から飛び出しました。
そして、近くのコンビニまで逃げ込みました。少しでも人がいるところに行きたかったのです。
数分後、妹から電話がかかってきました。ドアを閉める音で驚いてシャワーを中断したみたいで、
何があったのか、と聞いてきました。
私は一部始終を話しました。
話し終えると、妹がいいました。
「お姉ちゃん、さっきからずっと後ろから「なるほど、なるほど」って聞こえてるよ」
その後、姉は何度もお祓いしたんですが、未だに電話をかけるとその声が聞こえます。