ただの鬱状態時なら会話も出来たのだが、そうではない時がかなり怖かった。
突然、焦点の合わない目で呪文のようなものを唱えだしたり、訳の分からない世界の話をしたり、
何かの言語をそれらしい感じでひたすら喋っていました。
日本語バージョンの独り言を聞いていると、どうもこの世界の事を言っているのでは無い
という事がうかがえる内容だったが、
鬱とはこういうもんだろ程度の認識しかなかったので、ただのうわ言だと思っていた。
しかし、寒気のする内容ばかりだったのだけはよく覚えている。
そして、頻繁に「寂しい」といった単語も盛り込まれてもいた。
いつまでも延々と独り言のように喋り続けるその様子は、家族としては見ているのも辛かった。
そんな廃人状態の親父を見て、もう高校も辞めて働かなくてはいけないないかなぁと、
一人悩んでおりました。
しかし精神科に連れて行ったら、即入院させられてしまいそうな状態だったので、
それは最後の手段にしようと家族で話し合っていました。
そしてそんな状態が3ヶ月程続いた時、母が突然親父を連れ出してどこかへ連れて行きました。
「どこへいくの?」と聞いても、「後で話すから、家で待ってて」と言うだけでした。
そしてもはや一人で歩く事も出来ない精神状態になっていた親父を、母と俺とで
タクシーへ引きずり込もうとすると、親父が猛抵抗!
ひたすら「いい!いい!大丈夫!大丈夫だから!」と、明らかに異常に血走った目で
訴えていました。
(続く)
それが午前中の出来事。
どうしたのかなと思いながら家で留守番をしていると、夕方に両親が戻って来た。
その時には、目も死んでいて、頬もゲッソリして一人で歩けもしなかった父が、
予想外に以前の元気だった状態に戻っていたので相当ビックリしました。
頬はこけたままでしたがね。
で、どこに行っていたのか母に聞いたら、双子のお婆さん霊能者を紹介してもらったらしく、
そこへ藁にもすがる気持ちで行って来たんだそうな。
そしてそのお婆さん方に聞いた所では、親父には成長した水子が憑いていたのに加えて、
狐も憑いていたとの事。
確かに俺の前には、体を形成出来ない状態(泡の状態の胎児)で産まれて来た子がいたらしい。
どうもその子(兄貴だったらしい)が、親父を慕って、ず???っと憑いていたんだそうな。
それだけなら問題はなかった様なのだが、精神状態が鬱になった所へ狐が憑依し、
体を乗っ取られかけており、
そこへ水子の兄もダブルで憑依してしまいなんだか混沌とした状態になっていたとの事だった。
それと、鬱状態だと憑依されやすいのだとも。
そこで一旦、そのお婆さん方に狐と水子の兄を親父から引き剥がしてもらった後に、
今まであまり水子(兄)の事を思い返さなかった事を詫びたそうな。
水子供養もしてなかったらしい。
でも、狐の方がなおも親父に憑依したがってるとの事で、どうやったのかは知らんけど、
神様に頼んで処理してもらったようだ。
訳の分からん言葉は、狐が喋らせていたとの事。
翌日から親父は、信じられない位に顔色が良くなり、目にも光が戻った感じになったが、
変な言葉をしゃべったりしていた事を聞くと「え?そんな事してたっけ?」と、
憑依されてた時の記憶はない様子でした。
そして、その次の日には普通に出社してました。
現実にこういう事があると、嫌でも霊的存在を信じてしまいますね。
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