怖い話

【病院の怖い話】「落ちる」のが見える605号室

109本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 16:28:56 ID:ic6qHxaj0

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聞くと、★必ず★(金縛り等あなたの身に)何かが起こる話です。
聞きたくない!恐怖体験は御免だ!という人は、スルーしてください。
誰も責任はもてませんので。あしからず・・・

引用元: 【体験談】病院であった怖い話【限定】-1-

「・・・悪いけど今日**病院に当直に行ってくれないか」

朝、医局でコーヒーを飲んでいると
遅刻ギリギリで入ってきた先輩が
開口一番そういった。

「寝当直で楽勝だし懐具合を考えると
本当は行きたいんだけどな。
昨日のオペ患の状態が今いち安定してないから
病棟から離れるわけにゃいかんのよ」
「・・・・いいすよ、今日はオペもないし
拘束もかかってないし。
でも先生、**病院って何時入りなんですか?
当直セットを持って来ていないから
一旦家に帰って取って来なきゃいけないんですけど」
「大丈夫だよ、入りは七時だから。
大学を五時半に出れば 寄り道する時間は十分あるよ。
向こうに着いたら受付にいって
当直にきましたといえば当直室に案内してくれるし
後は、消灯前に病棟をぐるっと回って
何か異常がないか尋ねるだけでいいよ」

110: 本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 16:31:19 ID:ic6qHxaj0

医局にはいくつかの不文律があった。
その中の一つが
手術と当直は最優先 である。

大学の医者の大半は給料をもらっていない。

医局の規模にもよるが
大学で給料をもらっている医者は
教授1人、助教授1~2人、講師1~3人、有給助手2~5人。
つまり
多くても10人くらい
少なければ3~5人くらいしか給料をもらっていず
その他大勢はタダ働きなのである。

そのため、生活のためにも
週1回よその病院での日勤と当直が
権利として認められている。

これらの外勤は医局が各病院から引き受け
個人に振り当てているものもあれば
自分のコネでさがして来たものもあった。
そうした個人的なコネの仕事も
将来医局公式に受け継がれるケースがあったので
医局が引き受けた仕事と同等の
扱いを受けていた。

 

111: 本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 16:34:03 ID:ic6qHxaj0
これらの外勤の仕事は医局員を食べさせていくためには
必要不可欠のものであり
医局としても穴をあけ
先方の病院に迷惑をかけることは
絶対にあってはならない事態であった。

そのため
当直は絶対的な最優先項目であり
教授のお説教の最中に
「すみませんが今から当直なので失礼します」
と言い放ち
「・・・そうか・・・・御苦労・・・・・・」
と、教授に言わしめ
伝説を作ったものもいた。

**病院は大学から車で40分程度のところにある
100床程度の個人病院だった。

田舎のちょっと大きめの病院らしく
内科、外科、整形外科を中心に
目と耳とお産以外は
取りあえず何でも診るような病院だった。

 

112: 本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 16:34:52 ID:ic6qHxaj0
その代わりに見切りは早く、
少しでも手におえそうにない症例は
すぐに大学に送っていたために
病棟に重傷の入院患者はほとんどいなかった。

そのため、 当直といっても
ただ当直室に泊まりに行くようなもので
法律上いなければならない当直医として
名目上ただそこに存在するだけの仕事であった。

その日**病院に着いた私は
当直の際のいつもの習慣通り
3つあるナースステーションにすぐに足を運んだ。

私はどの当直先にいっても
できるだけ早くナースステーションに行き
重傷患者などがいないかを確認するようにしていた。

そうすることによって
万が一病棟に急変がおこった時
病棟に向かうまでに何をすべきか考える時間ができ
実際ことに当たるにあたって
精神的にも実際的にもゆとりを持つことができた。

 

113: 本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 16:36:25 ID:ic6qHxaj0
しかし、 案の定、**病院は
そういった手間をかける必要がない程に
落ち着いていた。
一通り病棟の状況を把握した私は
すぐに当直室に引きこもった。
当直室には夕飯が用意してあり
いつでも食べることができる状態だった。
当直先の人気不人気の基準は
いくつかあるが
おおむね3つの要素に集約される。

忙しいかどうか。
バイト料はどのくらいか。
そして、夕飯は美味しいかどうか。

誰しも暇でバイト料がいい方がいいに決まっている。
しかし、そう都合のいい話は無いことは
みんな承知しているので
忙しくバイト料がいい方か
暇でバイト料が安い方か
どちらかを選択することになる。

そんな時大きな選択基準になるのが
夕飯が美味しいことである。
夕飯が美味しければ
多少バイト料が安くても諦めが着くが
夕飯が不味いと
翌朝コンビニによるまで
不平の炎が燻り続けることにる。

 

114: 本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 16:37:10 ID:ic6qHxaj0
可も無く不可も無い夕飯を食べ終えると
横で何やら喋っているテレビをBGMに
何をするとも無くボーっとして過ごした。

患者に、手術に、
時間に追われる生活を送っている身にとって
何も考えず頭を真っ白にして過ごす時間は
数年ぶりの至福の一時だった。

座禅を組んだような
無の境地を数時間過ごした後
到着時と共に習慣にしている
就眠前の病棟確認、別名御用聞きに出かけた。

**病院は1階に外来が
2階に手術室や検査室があり
そして病棟は3階、4階、5階にあった。

私は3階のナースステーションから順に
就寝前の異常確認を行った。

たったこれだけのことだが
夜中に安眠を妨げられるか
朝、気分よく起きることができるか
大きな差が出る
経験で学んだ生活の知恵だった。

 

115: 本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 16:37:57 ID:ic6qHxaj0
3階のナースステーションに着き
中を覗くと
比較的若そうな看護婦が二人、
患者の体温などを記録する検温版に向かって
半分眠りそうになりながら
準夜帯の記録を行っている最中だった。

「何か問題はありませんか?」
そう声をかけると
二人ともいっぺんに眠気が覚めた様子で
顔を見合わせ異口同音にいった。
「イエ、特に異常はなく全員落ち着いています」

その答えを聞くと私は4階へ向かった。

**病院もほかの病院の例に漏れず
4階という名称はなかった。

(通称)5階のナースステーションも
3階と似たような光景が展開されており
また同じような会話か繰り返された。

 

116: 本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 16:39:54 ID:ic6qHxaj0
次は最終チェックポイントの(通称)6階だった。

5階から6階への階段を上がっていくと
6階はほかの二病棟に比べると
ひときわ静まりかえった感じがした。
決して前の二つの病棟がざわついていたということではなく
むしろこの6階の方が妙に静かで
何か病棟全体がそっと息を潜めているような感じだった。

6階のナースステーションへいくと
比較的若そうな看護婦と中年がかった看護婦とが
真剣な面持ちでなにやら小声で話をしていた。

「どうかしました?」
驚かないようにある程度近づいた後に
そっと声をかけたのだったが
それでも彼女らはイスをはね飛ばし瞬間的に立ち上がった。

「申し訳ない、驚かすつもりはなかったんだけど」
そういう私の顔を見る二人の表情は
一瞬のうちに驚きから安堵感のものへと変わった。

「ちょうどお電話しようか相談していたところなのです」
若い方の看護婦がいった。

 

117: 本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 16:42:12 ID:ic6qHxaj0
「605号の患者さんなんですけど・・・・」
年嵩の方の看護婦がそう言いかけると
若い方の看護婦がやや強引に後を引き取って続けた。

「80歳の女性で気管支炎で入院されている方なのですけど
病室の窓から人が落ちるのを見たと
先ほどこちらに興奮して来られたんです。
私たちもお部屋の方にいって窓の下を見たのですけど
窓の下には誰もいませんでしたので
ご本人にそういったのですけど
間違いなく自分は見たとおっしゃって。
ご高齢ですけど普段ははっきりした方で
今まで夜間せん妄や徘徊はなかった方ですし
今回もそういった感じではないのですが」
要領よくそう報告した彼女ではあったが
何かまだいい足りないかのような表情を浮かべていた。

続きを話すように視線を送ると彼女は続けた。

「・・・実は・・・・・私たちがお部屋に行ったとき、
私も何かを見たような気がするんです」
「何か?」

 

118: 本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 16:43:22 ID:ic6qHxaj0
「はっきり見たというわけではないのですが
窓の外で何かが落ちたように見えたんです」
「・・・でもあなた達が部屋に行ったのはその患者さんが
人が落ちるのを見たといって来たので
確認のために行ったのでしょう。
そのときにまた何かが落ちるのを見たということは
同じ日に同じところから2度、
何かが落ちたということになりますね・・・・」
「・・・・ええ、変な話だということはわかっています。
それに何かが落ちたような気がした後
窓の外を見ても何も落ちていなかったんですし」

私はもう一人の看護婦に尋ねた。
「あなたは何か見たの」
「イエ、私も窓の方を見ていたんですけど
別に何も見ませんでした。
たぶんこの娘の気のせいだと思うんですけどね・・」

この話題にすでに飽き飽きしているらしい
年嵩の看護婦がそう答えるのを横目に
私は若い方の看護婦に尋ねた。
「で、その患者さんは?」
「今そのお部屋の方に」
「・・・それじゃ、ちょっとその患者さんの様子を見に行きましょうか」

 

119: 本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 16:44:10 ID:ic6qHxaj0
その部屋、605号室は廊下の端にある3人部屋だった。
ナースステーションを無人にするわけには行かなかったので
私は若い方の看護婦と一緒に廊下を奥へ進んだ。

病室のドアは異常がないか確認しやすいように
開け放してあった。

彼女は身に付いたプロの習性か
それぞれの部屋の前を通る度に軽く視線を向けていた。

廊下に明かりはあったが消灯時間になっており
光量は落としてあった。
そのせいか明るいナースステーションから離れるに従い
空気が重くまとわりつくように感じられるようになった。

605号室のドアもやはり開け放してあった。

その前に着くと囁くように彼女は言った。
「本当でしたら窓際のベッドなんですけど
窓際はもう嫌だということですし
丁度ほかの2床も空いていたので
一番手前のベッドに移動していただいています」

私は軽く頷くと中に入った。

 

120: 本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 16:46:32 ID:ic6qHxaj0
部屋の中に入ると 奥二つのベッドの周りのカーテンは
開け放してあったが
一番手前のベッド周りと窓のカーテンは
しっかりと閉じてあった。

「●●さん、大丈夫ですか?
当直の先生がいらっしゃったんですけど
具合はいかがですか・・・・・
・・・・・・カーテンを開けますよ」
彼女はそう声をかけると
ベッドを取り囲んでいたカーテンをそっと引いた。

ベッドの上にはこんもりと盛り上がった布団の山があり
その中かからくぐもった声がかすかに聞こえてきた。

「●●さん、大丈夫ですか?」
彼女は再びそう声をかけながら
今度は布団の片端をそっとめくった。

中から聞こえてくる声は多少はっきりとしたが
それでも尚、
何を言っているかほとんど聞き取れなかった。

さらに布団をめくり現れた顔は
渾身の力で目が閉じてあった。
「●●さん・・・」
そっと声をかけてもその瞼はゆるまず
口元から呟き声が漏れていた。

お経でも唱えているのだろうか
そう思い私はその口元に耳を寄せてみた。

 

123: 本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 17:04:18 ID:ic6qHxaj0
「・・・・・・・・・」

最初は単なる音にしか聞こえなかったが
しばらく聞いているうちに何を言っているか徐々に判り始めた。
「・・お・・る、お・ち・、お・ち・る・おちる、落ちる、
落ちる。落ちる。落ちる。落ちる・・・・・」
ひたすらにそう呟いているだけだった。

私が後ろを振り返り目が合うと
彼女は2、3度軽く首を横に振った。

めくった布団を元に戻すと私は窓に近寄った。

どこにでもあるようなカーテンをそっと開けると
窓の外には澱んだような暗闇が広がっていた。

ほかの病室などから漏れる灯りはなく、
唯一目に入る光は
自身がいる部屋から漏れる光だけであった。

それでもかろうじて1階部分の地面の様子は見てとれた。

そこには、
塵一つ、落ちているものはなく
うす茶色に乾ききった地面が
見えるだけであった。

 

124: 本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 17:05:08 ID:ic6qHxaj0
「・・・何も落ちていないな・・・」
下をのぞき込みながら私は呟いた。

その時、
何気なく振り向き
上を見上げた私に向かって

落ちてくるそれがあった。

それは恐怖にみちた『顔』だった。

「ぶつかる!!」

瞼を閉じる時間もなかった。

次の瞬間、
私が感じたのは衝突の衝撃でも
痛みでもなかった。

恐怖感だった。

それは、
迫りくる地面に対しての、
落ちることへの

純粋な恐怖感だった。

それが突き抜ける瞬間
恐怖感と共に次の言葉の繰り返しだけが
頭の中にこだました。

『落ちる、落ちる、落ちる、落ちる、落ちる・・・・・・』

 

125: 本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 17:05:54 ID:ic6qHxaj0
絶対的な恐怖が通り過ぎた後

開いたままの瞼の前には
屋上までつながる建物の壁と
その向こうに
漆黒の闇が広がっていた。

惹かれるように振り返り
焦点の定まらない目に見えたものは
やはり何一つ落ちていない
うす茶色の乾いた地面だけだった。

「・・・だ・・じょ・・・すか、・いじょ・・で・・ 」

遙か遠くから誰かが呼びかける声が聞こえる。

呆然と窓の下を見ていた私は
襟首をグイッと後ろに引っ張られ
部屋の中に引き戻されると同時に
意識も現実世界に戻った。

 

126: 本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 17:06:40 ID:ic6qHxaj0
「先生、大丈夫ですか?」
「首が絞まって窒息しそうだけど
そのほかは大丈夫だよ」

彼女は一瞬驚いたような表情を浮かべたが
すぐにその顔は真っ赤に紅潮し
私の襟首をつかんでいた手を離した。

「・・・・すみません・・・
何かぶつかったショックで意識を失って
落ちてしまうかと思ったもので・・・・・」
「・・・謝る必要はないよ。
意識を失ったというのは
ある意味はずれじゃないし・・・・・
ただ、何かがぶつかった訳じゃないよ」
「いったい何が起こったんですか?」

私は窓際からゆっくりと離れながら訊ねた。
「後ろから見ていて何が起こったように見えた?」

「最初は、何かが落ちてきて
先生の頭に当たったと思ったんです。
でも、
実際には 落ちてきた何かは
先生の頭をすり抜けたような気がするんです」
「うん、正解」
「いったい、あれは何なんです?」

 

127: 本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 17:07:45 ID:ic6qHxaj0
私たちはその部屋の入り口に近づいた。
一番手前のベッドでは
相変わらず布団の山の中から呟き声が漏れていた。
私は歩みを止め
その布団の山を横目で見ながら言った。
「・・・はっきりとしたことは判らないけど
たぶん、
強い感情・・・じゃないかな」
「強い感情?」
「・・・・あれが頭の中を通過する瞬間
まるで自分が 実際に真っ逆様に落ちて行く
恐怖を感じたんだ。
そして、迫ってくる地面も見えた。
本当に一瞬だったけど・・・・」
「それが落ちてきたものの持っていた感情というのですか?」
彼女は真剣な面持ちで訊ねた。

「・・いや、そうじゃない。
それが持っていた感情というんじゃなくて
その感情自体、恐怖感自体が
落ちてきたと言うべきかな。
もし、『恐怖感を持った何か』が落ちてきたんだとしたなら
それ以外の意識、たとえば自分が誰だとか、
男か女かとか、落ちた瞬間の想いとか、
生への執着や、今まで生きてきた何らかの記憶の断片とかが
少しはあると思うんだ。

 

128: 本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 17:08:32 ID:ic6qHxaj0
でも、あれの中にはそうしたものは全くなかった。
純粋に落ちることへの恐怖感しかなかった。

たぶん落ちた瞬間
そうしたほかの感情のすべてが消し飛んで
落下に対する純粋な恐怖感だけが残ったんだろうね。
そして、
純粋な恐怖感だけの存在になったが為に
それに囚われ
何度も何度も落下を繰り返し続けている・・・・・」

荒唐無稽な話ではあったが
話しているうちに
それが真実であることが次第に判ってきた。
そして、
それを聞いた彼女も何の疑いもなく
それが真実だと言うことを納得していた。

 

129: 本当にあった怖い名無し 2008/09/07(日) 17:10:20 ID:ic6qHxaj0
「・・一つ疑問があるんです。
なぜ、あれは今日に限って落ちてくるんでしょうか?」
「・・・・・今日に限って落ちている訳じゃないよ。
ただ、今日それを感じることができる人間が
いたというだけの話さ。
・・・・・・あれが最初にいつ落ちのかは判らない。
でも、あれが落ち始めた瞬間から
今までずっと繰り返し落ち続けているんだよ」
「・・・そんな・・・・・」
彼女は一瞬目に涙を浮かべたように見えた。

「助けてあげることってできないんでしょうか?」
「・・・・我々は、傍観者にしかなれないんだ。
最後の瞬間、患者を為すすべもなく見送るように・・・」

最後にそういい部屋を出ようとしたとき、
振り返った私の目にまた落ちてきたそれが写った。
一瞬、止まって見えたそれは
恐怖と悲しみの表情を浮かべていたように思えた。

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