以前、俺は韓国人の「祟られ屋」の所に半年ほどいた事がある。
その「祟られ屋」を仮に「マサさん」と呼ぶことにする。
マサさんは10代の頃に日本に渡ってきた、在日30年以上になる韓国人。
韓国人には珍しい「二文字姓」の本名を持つ一族の出身で、
在日朝鮮人実業家に呼び寄せられた先代の「拝み屋」だった父親に付いて来日したらしい。
引用元: ・死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない?160
嫌韓の人とかは読み飛ばしてください。
以前、俺は韓国人の「祟られ屋」の所に半年ほどいた事がある。
その「祟られ屋」を仮に「マサさん」と呼ぶことにする。
マサさんは10代の頃に日本に渡ってきた、在日30年以上になる韓国人。
韓国人には珍しい「二文字姓」の本名を持つ一族の出身で、
在日朝鮮人実業家に呼び寄せられた先代の「拝み屋」だった父親に付いて来日したらしい。
「マサさん」というのは、その風貌から。
現役時代のマサ斎藤というプロレスラーに似ているから。
俺はある事件で「祟り」に遭い、命を落としそうになったことがある。
その事件が生涯初めての霊体験であり、マサさんと知り合うきっかけになった。
今日はその事件について書きたいと思う。
Pの実家は、焼肉屋にラブホテル、風俗店や金貸しを営む資産家だった。
P家の経営するラブホはカラオケやゲーム、ルームサービスも充実して流行っていた。
「事件」があったのは、そんなP家の経営するラブホの新店舗。
新店舗もオープン当初は立地条件も良く流行っていたらしい。
しかし、ある時を境に客足がガクッと落ち込んでしまった。
まあ、お約束ってやつかな。
どうもそのホテル、「出る」らしいんだ。
そのホテルに出るだけじゃなく、Pの実家の婆さんが亡くなり、お袋さんは重度の鬱病、
親父さんも胃癌になるといった具合に身内の不幸が重なった。
地元の商店街ではPの家が祟られているという噂が流れていたようだ。
そんな地元の噂を聞きつけたのか、拝み屋だか霊媒師だかのオバサンがPのところに売り込みに来たらしい。
自信たっぷりに「お前の所に憑いている悪霊を祓ってやる。失敗したら金は要らない。
成功したら500万払え」と言って来たらしい。
P本人は信心深いタマではなく、ハナッから相手にする気はなかった。
タカリの一種くらいにしか見ていなかった。
しかし、Pのオヤジさんは病気ですっかり参っていたせいもあって、このお祓いの話に乗り気だったらしい。
それでも500万という金はデカイ。
社長はオヤジさんだが、馬鹿な無駄金を使うのを黙って見ている訳には行かない。
そこで、Pは俺に「報酬10万に女も付ける。出るという噂の部屋に一晩泊まってみてくれ」と頼んできた。
ガキの頃から知っている俺が泊まって、何もなかったと言えばアボジも納得するだろうと。
万が一、本当に出たらオバサンにお払いを頼む。
出なければシカトして500万は他のラブホの改装の足しにでもする。
俺はオカルトネタは大好きだけれど、霊感って奴は皆無。
心霊スポット巡りも嫌いじゃないので快諾した。
問題のホテルの508号室(角部屋)に入った。
部屋に入った時点では霊感ゼロの俺が感じるものは特になかった。
ただ、デリ嬢のユキちゃん(ほしのあき似、Fカップ美乳!)はしきりに「寒い」と言っていた。
夏とはいえキャミ姿で肩を出した服装。
「冷房がきついのかな」位にしか思わなかった。
エアコンを止めてもユキちゃんが「寒い」と言っていたので、俺たちはバスタブに湯を溜めて風呂に入った。
バスルームでいちゃつきながら口で1発抜いてもらって、ベッドで3発やった。
部屋にゴムは2個しかなかったので3発目は生だった。
ユキちゃんはスケベですごいテクニシャン。
3時間以上頑張って流石に疲れて、1時くらいには眠ってしまった。
俺は、耳元で爪を切るような「パチン、パチン」と言う音を聞いて目が覚めた。
隣で眠っているはずのユキちゃんがいない。
ソファーの上に畳んであった服もバッグもない。
俺が寝ている間に帰ったのか?
オールナイトで朝食も一緒に食べに行くはずったのに…
俺はタバコに火を付けようとしたが、オイル切れという訳でも、石がなくなった訳でもないのにジッポに火がつかない。
部屋にあった紙マッチも湿ってしまっているのか火が付かない。
俺はタバコを戻して回りを見渡した。
部屋の雰囲気が違う。
物の配置は変わらないのだけれど、全てが色褪せて古ぼけた感じ。
それに微かに匂う土っぽい臭い…
俺は全身に嫌な汗をかいていた。
体が異様に重い。
目覚ましに熱いシャワーでも浴びようと思って、俺はバスルームに入った。
シャワーの蛇口をひねる。
しかし、お湯は出てこない。
「ゴボゴボ」と言う音がして、ドブが腐ったような臭いがしてきた。
俺は内線でフロントに「シャワーが壊れているみたいなのだけれど」と電話した。
フロントのオバサンは「今行きます」と答えた。
すると、入り口のドアをノックする音がする。
ハンドタオルで顔を拭きながらドアの方を見ると、そこには全裸のユキちゃんが立っていた。
ユキちゃんの様子がおかしい。
目が黒目だけ?で真っ黒。
そして、左手には白鞘の日本刀を持っている。
「ユキちゃん?」と声をかけても無言。そのまま迫ってくる。
そして、刀を抜いた。やばい!
俺は部屋に退がりテーブルの上に合ったアルミの灰皿をユキの顔面に投げつけた。しかし、当らない。
いや、すりぬけた?
今度は胸元にジッポを投げつける。
しかし、これもすり抜けて?入り口のドアに当たり「ガンッ」と音を立てる。
ユキは刀を上段から大きく振り下ろした。
かわそうにも体が重くて思うように動かない。
俺は左手で顔面を守った。
ガツッ、どんっ!
前腕の半ばで切断された俺の左腕が床に転がる。
俺は小便を漏らしながら声にならない悲鳴を上げた。
左肩から鳩尾辺りまで切り裂かれる。
俺はユキに体当たりしてドアの方に走る。
血に滑って足を取られながら逃げたけれど背中を切られた。
ドアを開けて外に逃げようとしたが鍵が閉まっている!俺は後を振り返った。
その瞬間、ユキが刀を振り下ろした。
首に鈍い衝撃を感じ、次の瞬間ゴンッという音と共におでこに強い衝撃と痛みを感じた。
シューという音と生暖かい液体の感触を右の頬に感じながら、俺は意識を失った。
体中が痛い。
頭も酷い二日酔いのようにガンガンする。
音のする方をみるとユキがドアをガリガリ引っ掻いていた。
何時間そうしていたのかは知らないけれど、両手の爪は剥がれて血まみれ。
ドアには血の跡がいっぱい付いていた。
俺はユキの肩を揺すって「ユキちゃん」と声をかけたけれども、
空ろな目で朝鮮語らしい言葉でブツブツ言っているだけで無反応。
俺はユキを抱きかかえてベッドに運んだ。
ベッドにユキを横たえると俺は部屋を見渡した。
勿論、俺の首も左腕も付いてる。
部屋の内装も真新しい。
しかし、俺は恐怖に震えていた。
バスルームではシャワーが出しっぱなしになっていた。
入り口のドアの手前には俺が投げた灰皿とジッポライター。
ベッドの手前のフローリングの床には小便の水溜り…そして真新しい傷…
血痕とユキの持っていた刀は無かったが。
Pは1時間ほどで人を連れて来るという。
とりあえず俺はユキに服を着せ、シャワーを浴びた。
熱い湯を体がふやけそうなくらいに浴び続けた。
シャワーを出て洗面台で自分の姿を見た俺はまた凍りついた。
首と左肩から鳩尾にかけて幅5ミリ位の線状のどす黒い痣になっていた。
左腕も。
背中を鏡に映すと背中にもあった。
いずれも昨晩ユキに刀で切られた場所だ。
約束の時間に30分ほど遅れてPはデリヘルの店長とホテルの支配人?、若い男2人を連れてやってきた。
支配人はドアの爪痕を見て青い顔をして無言で突っ立っていた。
デリヘルの店長は火病ってギャーギャー喚いていた。
ユキは頭からタオルケットを掛けられ、2人の若い男に支えられながら駐車場へ向かった。
俺は、Pの車を運転しながら(Pは物凄く酒臭かった。泥酔状態で運転してくるコイツの方が幽霊よりも怖い!)、
昨晩起こった出来事をPに話し、お祓いすることを強く勧めた。
流石のPも俺の首と腕の痣を目にして納得したようだった。
現場を見るついでに俺の話しも直接聞きたいらしいから、霊媒師のオバサンに会って欲しいということだった。
俺の方も異存は無かった。
俺は約束の時間に待ち合わせの場所に行った。
霊媒師のオバサンは50歳ということだったが、割と綺麗な人だった。
Pに「ユキはどうした?」と聞くと、Pは「ぶっ壊れて、もうダメみたい。韓国から家族が迎えに来るらしい」
オバサンは俺の向かいの席に座り、俺の両手を握って俺の目を瞬きもしないで見つめた。
10分くらいそうしたか、無言で手を離すと、Pの家族も見たいと言う。
俺たちはPの車に乗ってPの実家に向かった。
オバサンはPの家の中を見て回り、俺のときと同じようにPのオヤジさんとお袋さんの手を握って顔を凝視した。
霊媒師のオバサンは、俺のときよりも更に険しい顔をしてPに「問題の部屋に連れて行って」と言った。
俺たちはPの車に乗って例のホテルに向かった。
後部座席のオバサンは水晶の数珠を手に持って声を出さずに唇だけでブツブツ何かを唱えていた。
15分ほどで俺たちはホテルに着いた。
俺たちは車から降りた。
後部座席のドアが開いてオバサンが車から降りた瞬間、オバサンが手にしていた数珠がパーンと弾け飛んだ。
オバサンは顔に汗をびっしょりかいて怯えた様子で「ごめんなさい、これは私の手には負えない。
気の毒だけれど、ごめんなさい」と言って大通りの方に足早に向かって行った。
するとPは物凄い剣幕で「ふざけるな!金はいくらでも出すから何とかしてくれよ!」と叫びながらオバサンを追った。
オバサンはPを無視して早足で歩く。
すがり付くようにPは朝鮮語で泣きそうな声で喚きたてた。
しかし、オバサンはタクシーを捕まえて、Pを振り切って去って行ってしまった。
俺は困り果てていた。
霊現象の類は無かったものの、ホテルで付いた痣が膿んで酷い事になっていた。
始めは化膿したニキビみたいなポツポツが痣の線に沿って出来る感じで、ちょっと痒いくらいだったが、
やがてニキビは潰れ爛れて、傷は深くなって行った。
ドロドロに膿んで痛みも酷かった。
皮膚科に通って抗生物質などの内服薬とステロイド系の軟膏を塗ったが全く効果は無かった。
そんな時にPから連絡があった。
今すぐ会いたいと。
Pは安田大サーカスのクロちゃんに似たピザだったが、別人のようにゲッソリとやつれていた。
肌の色はドス黒い土気色で、白髪が一気に増え、円形脱毛症だらけになっていた。
Pが消え入りそうな声で「よう」と声をかけてきた。
俺が「どうしちゃったんだよ?」と聞くとPは答えた。
Pは俺をホテルに迎えにいった晩から今日まで「あの部屋で」「毎晩」「斬り殺されている」らしい。
殺されて次に目が覚めたときには自分の部屋にいるのだけれど、
今いる自分の部屋より「あの」ホテルの部屋での出来事の方がリアルなのだと言う。
Pの話を聞いて俺もあの晩のことを思い出して嫌な汗をかいた。
変わり果てたPの様子、霊媒師に逃げられた晩の必死な様子にも納得がいった。
そして、1ヶ月もの間、毎晩あの恐怖に晒されながら正気?を保っているPの精神力に驚きを隠せなかった。
俺はPに「御祓いはしなかったのか?」と聞いた。
Pは答えた「祈祷師、拝み屋の類も色々回ったけど、これを見ただけで追い払われたよ。
あのババアに逃げられたってだけで会ってももらえないのが殆どだったけれどな」
そう言うと、Pは着ていたTシャツを脱いだ。
Pの体には俺と同じ、夥しい数の「傷」があった。
膿んで深くなったもの、まだ痣の段階のもの…
放って置けば傷はどんどん深くなり、やがては死に至ると…
そして、「祟り」の性質から、普通の拝み屋や祈祷師には手は出せないらしい。
だが、Pのオヤジさん、商工会の会長の伝で朝鮮人の起した祟りや呪といったトラブルを解決してくれる
「始末屋」がいるらしい。
Pはその始末屋のところに一緒に来いと言う。
そこに行けば3ヶ月から半年は戻って来れないという。
俺は迷った。
しかし、あのホテルでの出来事や傷の事、Pの様子から俺は腹を括った。
俺は勤め先に辞表を出して、Pと共に迎えの車に乗った。
その紹介された「始末屋」がマサさんだった。
半年間、俺たちはマサさんの下で過ごし、「機」を待った。
色々と恐ろしい思いもしたが、半年後、事件は解決した。
事件の解決についてはマサさんの下での生活の話しを読んでもらわなければ判りにくいと思う。
長くなったので続きはまた後ほど。
半分くらい書けているので明日にでも。
乱文に付き合っていただいてありがとうございました。
※続きは順次投稿していきますのでしばらくお待ちください。
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