【閲覧注意】鶏卵工場でバイトをしていたんだが・・・

これは私が学生時代の話です。
私は南東北にある工場でバイトしていました。

心霊系じゃありませんがバイト体験から1本。

卵液というのは簡単に言うと割った状態の卵。
白身だけ、黄身だけ、全卵、全卵混合、全卵混合加糖、
全卵混合加塩などのバリエーションがあります。
主な出荷先はコンビニ弁当工場やお菓子工場など。
意外なことに殻を化粧品や工業製品の材料にすることもあります。
ここでの仕事はラインの監視。ものすごい楽でした。
卵というのは腐っていたりする可能性もあります。

1000個分の卵液がたまっているところに腐った卵を割り落としては
大変な事になります。1000個分廃棄しないといけません。そういうわけで、
・ラインは１つずつ卵を割り、
・状態をセンサーでチェックし、
・問題ない卵のみを卵液に追加する、
という手順になっています。
私が監視したのはセンサーでチェックしているところ。
とはいえこれは人間の能力を遥かに上回る精度とスピードで
監視していますので、人間の目で見ておかしな卵が
センサーをすり抜けないか監視するというよりは、
センサーが弾いた何でもない卵の敗者復活が仕事でした。

この職場で私は愚直に働きました。
その甲斐あってか順調に難しい仕事を任されるようになりました。
高級な卵から卵液を作るラインの担当になったのです。
ある日のこと。見覚えのないエラー表示が点灯しました。
それもそのはず、私が今まで担当したラインにはない機構が
その装置に搭載されていました。社員がいませんでしたし、
これといった稼動部品が無く、身体に危険はなさそうでしたので
エラーメッセージをもとに自分で対処してみることにしました。

『キャッチャー　ヲ　コウカン　シテクダサイ』
キャッチャー？あ、これか。足元には
「キャッチャー」というシールが貼ってある引き出しのような
部品がついています。見ると赤ランプも点灯しています。
機械は停止していますので、その引き出しをいっぱいに
手前に引き出しました。するとそこにはなんと、
広げた新聞紙いっぱいほどの広さのザルにすきま無く
ふ化する前のヒヨコちゃんたちが詰まっていました。
そうです。私が担当したのは有精卵ラインだったのです。
卵から出る前ってなんでピンク色でぐちょぐちょしてるんでしょうか。

しかも放し飼いのフリーダムな鶏卵を使ったラインだったため、
もうすっかりヒヨコちゃんな感じになっている卵から
肉塊状態の若いヒヨコちゃんまでがぐっちゃぐちゃになって
詰まっていました。ある程度のスピードでピヨピヨが
流れてきますので、つぶれてしまったのもあってえぐいです。
大きいのだとピクピクしてるのもいます。吐き気を我慢していたら
社員さんが新しいキャッチャーを持ってきて手馴れた感じで
あと少しで立派なヒヨコちゃんになるはずだったものたちを
運び去っていきました。それらはそれらで化粧品メーカーが
買い取っているそうです。

このブルーな話をバイト先の飲み会の席で工場長に話しました。
すると次の日、工場長がすごい料理を教えてくれました。
キャッチャーから回収したやばげなピンク色のピヨピヨを
3掴みくらいすり鉢に入れてつぶします。
つくねが完成します。骨が柔らかいので何もしなくても
綺麗な鶏団子になります。本当は7割から8割くらいの
潰れ方がよいらしいのですが、10割つぶしてもらいました。
それを社員食堂で茹でてもらいます。
で、食券で買ったラーメンの上に乗せて食べたら
「うまーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
もう普通の鶏団子なんか食えませんって。
しかし就職してバイト先をやめてしまいましたので
もうあれを口にする機会はないでしょう。惜しいものです。