110: 本当にあった怖い名無し 2015/05/29(金) 21:55:38.20 ID:
ある車掌が京都行きの列車に乗務していた。
111: 本当にあった怖い名無し 2015/05/29(金) 22:10:51.20 ID:
終電近くのため車内の乗客は数えるほどしかいなかった。
北小松に着いたとき、一番後ろの車両に若い女性が乗ってきた。
112: 本当にあった怖い名無し 2015/05/29(金) 23:26:24.66 ID:
彼女は発車するや否や「すみません。この列車は吹田へは行きますか」と尋ねてきた。
この列車は京都止まりで、吹田へは京都でお乗り替えですと答えると「そうですか・・・」とさびしげに席へ戻って行った。
113: 本当にあった怖い名無し 2015/05/30(土) 02:06:33.96 ID:
外は雨も降っていないのに彼女の髪はぐっしょりと濡れていた。
列車が近江舞子に着くと彼女は降車していった。
114: 本当にあった怖い名無し 2015/05/30(土) 06:14:38.51 ID:
「行き先を変更したのか」と思っていると、間もなく比良に到着した。
列車が駅のホーム中央に来た時にふと車窓をみると、近江舞子で降りた先ほどの女がホームに立ち、こちらをじっと見つめている。
115: 本当にあった怖い名無し 2015/05/30(土) 13:04:40.35 ID:
「偶然に似た人か?」と思っていると次の駅でもその次の駅でも先ほどの女がホームに立っている。
「車で移動するにしても列車にはおいつけないだろうし・・・いたずらにしては手が込んでるな」と思っていると乗務員室のドアがノックされた。
116: 本当にあった怖い名無し 2015/05/30(土) 16:01:15.99 ID:
ついさっきまでホームにいたはずの女がそこに居て思わず後ずさりした。
彼女は髪から水滴をしたたらせぼんやりとした表情でこう言った。
117: 本当にあった怖い名無し 2015/05/30(土) 16:19:54.14 ID:
「帰りたい、帰りたいんです・・・」
その後、その車掌はその女を見たことはなかった。
同僚にも同じ経験をしたという話も聞かない。