母が他界した。
まぁ自業自得で他界したんだよ。
決して良い母親とは言えなかった。酒に溺れ、俺たち兄弟に暴力や酷い言葉を1日中言ってきた。
死んだ時は不謹慎だけど
「地獄に落ちろ」って思ったね。
そんなこんなで2年後の夏。俺はバイクで事故に遭い入院した。大きな総合病院の5階。入院期間は二週間くらいだった。右腕右足を怪我して人の手無くしてはトイレも難しかった。
俺の部屋は6人の相部屋。
年齢層はバラバラで俺と同い年くらいの男の子もいた。
>>3
その男の子タカシ(仮名)と仲良くなった。彼は両足を複雑骨折してた。
俺は鎮静剤が切れてくると怪我の痛みで苦しんだ。波のように押し寄せてくる痛み。辛かった。
痛みのせいで汗は吹き出て自分でもわかるくらい臭かった。
右太ももの付け根を怪我してたから、基本ベッドにいるときは下はブリーフ1枚。
看護婦さんが巡回で来るときはさすがに恥ずかしかった。その恥ずかしさと臭いでお見舞いは断ってた。
トイレも尿瓶。看護婦がブリーフの脇からアレを出して尿瓶の中に放尿。
そんな毎日だった。
そんなある日の夜、ケータイが鳴る。知らない番号。
誰だ?
>>4
知らない番号…
そりゃそうだ。060から始まる番号なんて見たことない。
俺はその電話に出ようとした。
だけどその寸前に切れた。
リダイアルしようとしたが着歴に残ってない。
もしかしたら鎮静剤のせいで幻覚を見たかも…
なんて思ったりした。
朝を迎えた。いつも通りに看護婦さんがくる。俺のベッドの周りをカーテンで覆う。ブリーフを履き替えて清拭。正直な気持ちを言うと屈辱だった。
寝れないのでぼーっと夜の外を眺めてた。また鳴る。あの番号だ…
今度こそ…
すぐに通話ボタンを押した。
>>7
実体験
夜も遅いので布団を覆い被さって通話した。
「も、もしもし…」
「ピー…ザザ…ザザザ…ピー …………」
すぐに切った。
ノイズだけしか聞こえなかった。
怖かったし耳が痛い。
俺はまた朝を迎えた。
俺はタカシと話した。
「あのさ、電話に出てノイズだけが聞こえてくることってある?」
「たまにあるよ。電波障害かなんかじゃないかな?ほら山奥とか地下とか」
「昨夜電話鳴ってさ、俺出たんだよ。ノイズだけ聞こえた。でもここ病院だよな」
「まぁ、機械とかあるからじゃね?」
「なるほど…060から始まる番号知ってる」
「知らん。もしかしたら…大統領かもよ(笑)?」
「バカな(笑)」
そして夜になる。あの時間が迫る。電話の時間が…
深夜2時。
鳴った。
>>11
またすぐに通話ボタンを押す。
「もしもし」
「あ。俺君?私、お母さんだよ!元気?事故、大丈夫?」
「嘘だろ?死んだよな?」
「ツーツーツー………」
切れた。
朝を迎え、タカシに話した。
「あの番号、死んだ母さんからだった。」
「やっぱな…俺は入院期間長くて、俺も死んだ弟から電話かかってきたんだよ」
「本当かよ?」
「ああ。でも少し話したらもうかかってこない。」
夜になってあの番号から電話かかってくる。
通話ボタンを押す。
「もしもし!」
「お母さんだよ!あんた、退院したらあのコンビニの前の通り通っちゃダメだよ!」
「どういうことだ?」
電話は切れた。
そして退院した。
タカシはまだ入院するそうだ。
弟が迎いに来てくれた。
あのコンビニの前の通りに差し掛かった。
俺はとっさに母さんの言葉を思い出した。
「おい!弟!あの通りは通るな。迂回してくれ!」
「ふざけんなよ。近道だろうが!」
「バカが!いいから言う通りにしろ!」
俺達は迂回した。やたら遠回りになったけど家に着いた。
>>14
その日の晩、俺は思いっきりシャワーを浴びた。気持ちいい!!
弟が俺を呼んだ。
「兄貴!きてくれ!」
居間にいくとテレビで信じられんニュースが流れてた。
あのコンビニの通り。
そこで大規模な事故があった。まさに俺達が通ろうとした時間にトラックが横転。死者を出した事故だ。
なんてこった…
あのクソみたいな母親が俺達を助けてくれたのか?
なんか俺は少し母さんの事が好きになった。
来年で七回忌。線香をあげにいこう。
あの世からの電話。
俺が幽霊を信じ始めた出来事である。
これを読んでるあなた。
忠告は受け入れましょう。
ご清聴ありがとうございました。
Psブリーフの履き心地は最高です。