そいつは黒い霧の固まりみたいで、目の辺りだけ少し霧が薄い
目の錯覚かと一瞬思ったが、暫くしても消えない
やべーどうしよーと何か怖いというよりこいつを家の中に入れちゃいけないと思って、
でも俺の家はマンションだから裏口から、という手はない
引用元: ・死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない?161
そいつは黒い霧の固まりみたいで、目の辺りだけ少し霧が薄い
目の錯覚かと一瞬思ったが、暫くしても消えない
やべーどうしよーと何か怖いというよりこいつを家の中に入れちゃいけないと思って、
でも俺の家はマンションだから裏口から、という手はない
暫く待ってみてそいつがいなくなるのを待っていると、
10分位してやっと消えた
俺は今しかない!と思ってダッシュで家に入り、塩を玄関にまいた(食塩だけど
家に入ってからはそいつのことを忘れて一家団欒していたんだけど、
いきなりウチの猫が今までにないくらいゲェゲェとゲロを吐き始めた
こんなことは初めてなので翌日病院に連れて行って、
獣医に診断してもらったら猫の腹に腫瘍が出来ていると獣医は言った
「この辺りにビー玉くらいのしこりみたいなのがあるでしょ?」と
でも俺は毎日猫の腹をガシガシマッサージするけど、
しこりは猫が吐く前日まで無かったと思う
腹をちょっと揉んだらすぐ判るところに腫瘍はあった
俺は手術で取ってくれといったが、手術はできないらしい
猫の体は他の猫より小さかったので手術に耐えられないと言われた
それでも猫は日に日にやせ衰え、腫瘍も大きくなっていった
そして先月、猫は朝に突然ゲロと糞尿を垂れ流し痙攣して、夜に死んだ
俺はアホかってくらい泣いた
翌日には役所で猫を焼いてもらい、骨を貰って家に持って帰った
その帰り、俺はまたあの黒い帽子の被った男を見た
家のドアの前に立っていて、だけどその日は少し様子が違った
何でそう思ったのか判らないけど、俺はそいつに睨まれてる気がした
俺は始めてそいつが怖いと思った
そのまま見詰め合い(?)ながら暫くその場にいると、またそいつは消えた
俺はどっと汗が出て、猫の遺骨をぎゅっと抱いて家に入った
その日、俺はそいつのことを考えた
猫の容態が悪くなったのがそいつが現れた日だった
偶然かもしれないけど、俺はそいつが関わっている気がした
そして睨まれたのは、本当は猫じゃなく俺か俺の家族を狙っていたんじゃないかと
猫はその身代わりになったのではないかと、そんな気がした
以上です
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