友達が俺の誕生日会を開いてくれて、その帰り道に
体験した話。
終電手前くらいだったから0時前とかだったかなぁ。
駅からまっすぐ下り坂があって、坂沿いに桜並木と
小川(用水路?)がある道を下ってた。
時間も時間だし、人気なんてあんまりなくて一人で
トボトボ帰路についてたんだけど、
田舎なもんで暗いし、ガタガタしたタイルの坂だから
ゆっくり歩いてた。
酒も入ってたし、なにより誕生日プレゼントが入った
紙袋の重みが嬉しくってさ上機嫌で紙袋をブラブラさせてた。
坂道の中腹くらいかな。一番坂がなだらかで車の通りもない、
一番暗いところらへん。
鼻歌交じりに紙袋を揺らしてたら、
バンッ!
って背後で紙袋が何かにあたる音がした。
「しまった、後ろの人にぶつけちゃったか?」と思って振り返り、
「すみません」って言い終わるあたりで誰もいないことを確認した。
ぶつかるような物もない。
中身が動いてぶつかったように感じただけかな?って
気にも留めずまた歩き始めるとさ、
紙袋を後ろに揺らしとき、また
バンッ!
って背後の何かにぶつかった。今回は確実に手に
ぶつかる振動があった。
立ち止まってもう一回「すみません」って言おうと振り返った
けど、やっぱり誰もいなかった。
さすがに気味が悪くて急ぎ足になって坂を下ろうとすると、
紙袋が背後へ揺れるたびに
バンッ バンッ バンッ バンッ バンッ バンッ
ってぶつかり続ける。もう袋を抱きかかえてしまおうかとも
思ったけど、
背後の何かが今度は違うところにぶつかるんじゃなかいって
怖くって出来なかった。
だけど、なんでだろう。怖すぎてテンパッったのかな。
バンッてぶつかると同時に振り向けば、何にぶつかったか
わかるんじゃないかってひらめいてさ
恐怖の正体を知りたくて紙袋を後ろに振って、音が鳴りそうな
とき振り返った、
振り向いた先、音もせず、背後には何もなく、ただ暗い坂が
続いてただけ。
だけど、すぐに、また、バンッ!って音がした。
すぐ間近。背後に振った紙袋が前方に戻ってきたとき、
またぶつかる音がした。
もちろん前方には誰もいなかったし、ぶつかるようなものは
なかった。
こういうときって硬直するよね。心臓の音が半端なかった。
とにかく怖くって目をつぶりながら前を向いて、真正面を避け、紙袋を抱えながら歩いた。
人生ではじめてあんなに震えた気がする。
数m歩いてからゆっくり目を開けると、なにもなくて心底
ホっとした。
それから早足で家まで帰ったよ。
あとで確認したけど、もらったプレゼントにバンって音が
するような重いものもなかった。
それ以来、何事もなかったけど結局あれなんだったんだろうなぁ。
関係ないかもしれないけど、その坂道で「お写真いいですか?」
って聞いてくるおっさんがいるらしい。
ポラロイド片手に撮ってくれってお願いしてくるんだって。
それも夜中に。
このおっさんだったのかなぁ。