どうやら私は霊に目を付けられやすい体質のようで、しばしば霊的な体験をしてしまいます。
私のほうではなるべく係わり合いになりたくないと思っているのですが・・・
そして同じような体質の人どうしは引き合うみたいなのです。
近畿地方に引っ越してきてからの話なのですが、私が「超師匠」と呼ぶ人と
知り合いになったのも、そのせいだと思うのです。
引用元: ・死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない?157
どうやら私は霊に目を付けられやすい体質のようで、しばしば霊的な体験をしてしまいます。
私のほうではなるべく係わり合いになりたくないと思っているのですが・・・
そして同じような体質の人どうしは引き合うみたいなのです。
近畿地方に引っ越してきてからの話なのですが、私が「超師匠」と呼ぶ人と
知り合いになったのも、そのせいだと思うのです。私は怪奇研究部に属していて、部ではミステリーサークルに関する研究や心霊現象の解明、
911テロの真相といった論文を制作しては某雑誌に投稿するのを生業としていました。
論文はその雑誌の編集部では高い評価を受けていたのですが、その雑誌は残念ながら
政府から非公式の圧力を受けて、廃刊させられてしまいました。
そうした話はおいおいしたいと思いますが、今回の話はそれとは関係ありません。
私達の部では新入部員を獲得するために、プレゼンテとして心霊スポットを探検したビデオを
大スクリーンで流すことに決まりました。
そこで予算の都合から、一番身近にある学生寮の屋上を撮影することにしたのです。
そこでは5,6年前に女子学生が飛び降り自殺をして、それ以来目撃談の絶えない場所だったのです。
学生寮の部屋は半分くらいが寝泊まりする学生で入室されており、しかも夜中に出かける学生も
多かったので、ほとんどの部屋は空き部屋でしたが、私たちは声を出さないようにマスクをして、
抜き足差し足で屋上へと向かいました。
臨場感を出すためにエレベータを使わずに、ビデオを回しながら階段を昇りました。
3階分の階段を昇って、廊下を少し渡ると、屋上へと続く別の階段があるのです。
昼間は賑やかですが、さすがに深夜2時ともなると、異様な静けさに包まれます。
夜は電気の節約のために、蛍光灯は廊下の半分だけが点灯していました。
暗いとはいえ、明かりがともっているのがせめてもの救いでした。
そんな状況でも私たちはなんとなく遠足気分で、ときどき忍び笑いを漏らすものさえ
いたくらいです。
それは部員達が心霊スポットを何度も探検してきた猛者だったからだといえます。
しかし一番後ろを歩く私には、ある気配が感じられて、気が気ではありませんでした。
誰かが私たちの後ろから、付いてくる気配です。
私にはわかっていたことですが、もちろんそれは人間の気配ではありませんでした・・
けれどもほかの部員達は気づいていないようだったので、ここで騒ぎ出してはパニックに
なるだろうと思った私は覚悟を決めて、口を閉ざしてみんなと行動を続けることにしました。
といっても特に悪い事態は起こらずに、私たちは屋上をひと通り撮影すると、階下に
引き上げることにしました。
こうして約十分ほどの撮影が済みました。
それを翌日に部室のモニターで検証することにしたのです。
映像が始まってすぐに、ヘッドフォンでモニターしている部員が、おかしいぞと言い出したのです。
彼は「人数がひとり多い」と言い出したのです。
彼が言うには、先頭の部員がビデオカメラを回しているのですが、階段の切り替わりや踊り場で
いったん後ろの連中が追いつくのを待っています。
そしてみんなが揃うとほんのわずかの時間ですが、全員の足音が止まります。
それなのに「ひたひた」と後ろから追いつく足音が聞こえるというのです。当然のように、それは誰かの足音が反射したエコーだろうという意見が出されたのでした。
そこで音響研究所の鈴木博士のごとく、その足音をパソコンのソフトで解析した結果、
わずかであるが「ひたひた」という音が壁に反響しているということ、つまり問題の足音が
エコーではなく、それ自体が音源であること、要するに誰かが私たちの後ろから付いてきている
という結論が出されたのです。
女子部員のひとりが「うっそだー、だってオマーン一番後ろを歩いていたじゃん、誰かいたらわかるよねぇ」
と叫んだので、その場にいた全員の視線が私に集中しました。
私が「あの時は言えなかったけれど、ほんとに誰かが付いてきていたよ」というと、
一瞬の沈黙のあと、「ぶわははは!」と全員が大爆笑しました。
「またまたオマーンたら、怖がらせようとしちゃって」「ほんとうだってば!」
しかしその笑い声もモニターしていた部員の次の声で凍り付いてしまいました。
「足音が、屋上の階段の手前で、俺達を、追い越している・・・」
もちろん誰一人として、自分たちを追い越した人影を目撃していないのです。