俺らが体験した話。いまだに何がなんだかわからん。
去年の夏、男三人で旅行に行った。
一緒に行った奴の田舎に行くことにしたんだが、二日目からそこに泊まるってことで、
一日目はそいつの田舎から少しはなれたちょっと寂れた温泉宿に泊まった。
近くに何か見る場所があるみたいだからそうしたんだけど、
はっきり言ってつまんなかった。三人とも史跡とか興味ないし。
でしょうがないから、さっさと宿行ってだらけてた。
それなりに楽しんで夕飯食べた後に、食べ過ぎたから散歩行かね?って話になった。
だらけんのにも飽きてたから、いーねーつって、三人で外に出た。
宿の下を川が流れてて向かいが小さい山になってるんだけど、
その山を囲うようにして遊歩道があった。
そこを三人で騒ぎながら歩いてたんだけど、突然一人がしゃがみこんだ。
そいつを仮にCとしておくけど、Cが急に道端にへたり込んでなんか震えてる。
俺達は、ふざけてんのかと思って、なにやってんの?って声をかけたけど答えない。
で、Cは今度は急に立ち上がったかと思うと、川沿いの欄干に泣きながら
よじ登りはじめた。
わけもわからず、俺達は慌てて止めてんだけどCは一向にやめない。
「ごめんなさいごめんなさい」とか言いながら登ろうとしてる。
もうそれからが大変。ずっと「お母さんお父さんごめんなさいごめんなさい」と
言いながら欄干を登るCを止めてた。
もう何が何だかわからなかったし、下は浅い川で欄干から落ちても
たいした怪我じゃなさそうだけど、ガクブルしながらも俺達は必死で止めた。
ふいにCがえ?何??とか言って正気に戻って、俺達は慌ててCを担ぐようにして
宿に戻った。この時俺多分ちょっと泣いてた。
Cは自分が何をしたのか覚えてなくて、俺達が何を言ってもは?何いってんの?って
反応しか返ってこない。
その夜はとりあえず寝るかって感じになったんだけど全然眠れなかった。
次のはお互い昨日の事触れずにさっさと田舎ん家に行きました。
その後は何事もなく遊んで帰ったんだけど。
結局なんだったんだろ。今でも話題に上るけどCは今だに自分がしたことを
信じられないらしい。
病気とかもありえるのか?よくわからない。
とりあえず俺の人生で一番怖かった出来事です。