そこにはいぬをたくさん連れたお婆さんがいる。いつもいる。
引用元: ・死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?103
最近ではよく整備された夜景名所(大阪湾が一望できる)になってるが、
そこにはいぬをたくさん連れたお婆さんがいる。いつもいる。
何年か前に親戚でそ妙○山に行った時もそのお婆さんがいたんだが、彼女はなにするでもなく
ぼけっと突っ立ってた。十数匹の犬を引き連れて。
すると、おれらが連れて行った従兄弟のがきんちょが、興味本位で犬に近づいていったんだな。
するとその子が犬にものっそい吠えられて怯えて帰ってんだよw俺は「あほだなー」て見てた。
見てたんだけど、どうも吠えてる犬達の様子がおかしいの。皆で吠えてきて、一匹がおばあさんと話をしてるんだよね。ぼそぼそと。
その話してる犬がこっち向かって「ぐぁぐぁぐぁ」って鳴いたのさ。一寸、うちの母親が吠えられてた子を抱えて俺に一言、「逃げるよ」。
その一言になぜか気おされて、踵を返して車へ向かう俺ら。その後ろをゆっくりと、徐々に早足で近づいてくる犬たち。
うち一匹はずっと「ぐぁぐあぐぁ」ゆってる。
俺らは車二台に分乗してさ、車を出そうとしたら、犬たちが車の周りをぐるぐる回ってやがるの。ずっと「ぐぁぐぁ」言いながら。
しびれを切らせた母親が犬を弾き飛ばすようにして車を出した。後ろの車もそれに倣った。
後ろを見遣ると犬たちが吠えるでもなく、じっとこっちを見てた。
家に帰ると母親が言った。
「あの犬は 『 食 わ せ ろ 』 と言ってた。」って。だから逃げたんだと。
母親に言わせると、あの「ぐぁぐぁ」は「食わせろ」と言っていたらしい。犬が。子供を。
おれはそんなことあるかよと思ったけど、一つ変に思うことが無いわけではなかった。
車に乗ってから、窓もドアも全部閉めていたのに、あの「ぐぁぐぁ」はずっと、同じ大きさで聴こえていたんだよね。
それ以来犬がすこし怖い。