奇妙な話

【奇妙な話】夜中にふと目が覚めた時に・・・

89: 本当にあった怖い名無し 投稿日:2014/01/25(土) 17:04:04.65
つい先週のことだ
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89: 本当にあった怖い名無し 投稿日:2014/01/25(土) 17:04:04.65
つい先週のことだ
怖いというより不思議な話
夜中にふいに目が覚めた
枕もとの時計を見ると二時少し前だったと思う
階下で声がする。
~おい○○!○○!・・・×△>>0��
頭はまだ夢と現を行き来しており声はやや遠くぼんやりとしていて内容まではわからない。
だがどうやら階下で寝ている息子が弟の名をよんでいるようだ。
真夜中にうるさいな、と思いながら寒さでどうしても起き出す気にならなかった。
隣で寝ている妻も良く寝ているようで寝返りを打つ気配も無い。
と、そこではじめて自分の耳にまとわり付く雑音に気付いた
コポコポ、コポコポとなんだか泡の立つような音
まるで自分が水の中で寝ているような感じだった
少しだけ首を起こして頭を振ってみる
でも泡の音は消えない
コポコポ、コポコポ、ジュワッといった音が以前続いている。
が、代わりに息子が弟を呼ぶ声が止んでいた。
これをよしとして再び寝ることにする、頭を洗ったときに耳に水でも入るの日常のことだ。

 

90: 本当にあった怖い名無し 投稿日:2014/01/25(土) 17:07:59.16
再び目を閉じて間もなくだ
今度はガタガタ、ガタガタッと引き戸を開ける音がした。
音の様子からどうやら階下の風呂場に続く戸を誰かが開けようとしているようだが古くなった引き戸はうまく開かないようだ。
耳のすぐそばでまたあの泡のはじける音がする
その音の隙間を縫うように何かを言い争うような人の声が微かにもれ聞こえてくる。
声の主ははっきりしないがいずれ兄弟達だろう。
さては弟がまたステレオの音を大きくして音楽を聞いてでもいるのだろう
もとよりあの兄弟は仲が悪く平素から会話も殆どなかった、お互い馬があわないとでも言うのだろうか。
頭がまだぼんやりしていた、泡の音と共に何か言いようのない違和感が自分の中にあった。
だが今度はさすがに起き出さないではいられずに寝室のドアを開け階段の下り口まで行って階下の様子を伺う
しかし部屋の外はいたって静かで階段の下は暗かった。
その静かさと暗さが逆に自分を不安にしたのか、足がゆっくりと下に向かう

 

91: 本当にあった怖い名無し 投稿日:2014/01/25(土) 17:09:02.55

最後の一段を下りてゆっくりと廊下の奥へ首をまわす
真っ暗なその先に風呂場の灯りがオレンジ色に点っていた。
灯りのスイッチはどこだったろう壁を手探りするが見つからず、それでも足はゆっくりと奥に向かう、途中兄の部屋の前を通る
中でギシッと音がした、どうやら部屋にいるらしい
目をこらすと隣の弟の部屋のドアが少しだけ開いていたが中に灯りは点いていなかった
すると風呂に入っているのは弟の方か。

ちがうちがう何かが違う、風呂場のドアが近づくにつれ自分の中で言いようの無い不安が膨れ上がる。
そもそもこの廊下はこんなに長かったろうか、こんなに暗かっただろうか。
耳の中で泡の音がひときわ大きくなった気がした、自分は廊下で溺れている、だからこんなにも前に進めないのだ
やっと風呂場にたどり着くとノックもそこそこに戸を開けると続く洗い場のドアを開けた。
湯船の中に人が沈んでいた
水の中で息子の黒髪がゆれていた。

 

92: 本当にあった怖い名無し 投稿日:2014/01/25(土) 17:10:20.75

そこから先はよくは覚えていないが、とにかく自分は叫び、水を吐かせ息子に付き添い救急車に乗り
気が付いたら妻と共に待合室にいた。

どうやら息子は夜中に風呂に入りそのままうっかり湯船の中で寝入ってしまったらしい。
幸い発見が早かったため大事には到らずこのまま一日、二日入院して様子を見るだけでよく、妻を残して一人で家に戻ってきた。

着替えを持って行くため息子の部屋に向かう
途中兄の部屋の前を通る
あの時確かに中で音がしたと思ったが
そんなはずがあるわけもなかった
ドアを開けると、妻が時々風を入れては埃をはらっているその部屋は今も当時のままだった。
いま病院のベッドで寝ている弟も前はあんなの兄の聞く音楽をクサしていたのに時々この部屋に入ってはCDのラックをあさっているらしい。
けれど当のこの部屋の主は二年前、二十一の若さでここで縊死してしまった。
ではあの時の声はいったい誰だったのだろう、考えると当時を思い出してしまうので考えない。
そしてもう忘れたいのでここに書き捨てることにした。

 

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