194: 本当にあった怖い名無し 2017/06/09(金) 20:14:44.07 ID:
知り合いの話。
195: 本当にあった怖い名無し 2017/06/09(金) 21:27:01.71 ID:
彼がまだ幼い頃、お祖父さんと二人で夏祭りに出かけた時のこと。
祭りは山一つ向こうの神社でおこなわれており、帰りは山を突っ切って近道をした。
夜の暗い山道を歩いている間、彼は後ろが気になって仕方がなかった。
196: 本当にあった怖い名無し 2017/06/09(金) 21:31:43.22 ID:
何かが二人の後をついてくるような気配がしたのだ。
やがて山道が終わる頃、お祖父さんは足を止めて振り返った。
手提げ袋からタコ焼きを一ケース取り出し、地面の上に並べて置く。
197: 本当にあった怖い名無し 2017/06/09(金) 21:32:25.94 ID:
『お陰さまで今日も無事帰り着くことができました。ありがとう。』
そう言ってお祖父さんは一礼し、彼を促すと里道を歩き出した。
お祖父さんが言うには、その山には昔から送り犬が出るのだそうだ。
198: 本当にあった怖い名無し 2017/06/09(金) 23:32:37.41 ID:
暗い夜道を歩いている人の後ろからついて来て、事故に遭わないよう、他の獣に襲われないように、守ってくれるのだという。
里の者は送り犬に感謝して、山道の終わりで何か食べ物を差し出す慣わしなのだと。
里の者は送り犬に感謝して、山道の終わりで何か食べ物を差し出す慣わしなのだと。
199: 本当にあった怖い名無し 2017/06/10(土) 00:58:08.85 ID:
しかし、彼はその時、タコ焼きに口をつける送り犬の姿を盗み見てしまったらしい。
実のところ犬じゃなかったと思います。
二本足で歩いていましたから。
200: 本当にあった怖い名無し 2017/06/10(土) 03:40:43.30
人でもなかった。
身体には手が見えませんでした。
彼が見た灰色の影は、一体何だったのだろう。