小学校の頃、キャンプで夜の肝試しの前に先生がしてくれた怪談
先生は釣りが好きで、土日などよく暗い内に瀬渡しの船に乗り瀬に降り立って明るくなり始める早朝から釣りをしてたそうな
しかし、よく釣れそうな瀬にはいつも先客がおり、船の上からその瀬にライトの明かりが見えてて、「あそこにもいる。あっちにもいる」と
何回来てもなかなか良い瀬には降りれなかったそうだ
そこで、一度瀬泊まりをする事にし、前夜のうちに釣れる瀬に案内してもらい
やはり釣り好きな同僚の先生と二人で一晩そこに泊まる事にした
夜の海、しかも瀬の上。聞こえるのはすぐそこの岩に波が打ち付ける音のみ
非常に心細い中で横になって夜明けを待っていたそうだ
すると「バシャ」っと海面を叩く大きな音が聞こえてきた
大きな魚が跳ねただけだろうと特に気にもしなかったが、やがて「バシャバシャバシャバシャ」と激しい音に変わった
先生は何事かと音のする方向にライトを照らしてみた
そこには『お前たち』(俺は当時小6)くらいの男の子が10メートルほど先の海面で後ろ向きになって手をバタつかせて暴れていたらしい
「おい、何やってんだ!?」
気付いたら先生はそう叫んでいたそうな
その声と共に男の子は暴れるのをやめ、ゆっくりと振り返った
『それまでもビビってたが顔を見た瞬間血の気が引いた』と、先生の談
その顔は目はくぼみの様に真っ黒で所々肉は削げ落ち、アゴが外れているんじゃないかと思えるくらいに大きく口を開いていたそうだ
「あ゙ああぁぁぁぁぁ、あ゙あああぁぁぁぁ」
男の子は絶叫の様な声をあげて先生の方に海面から手をバタつかせながら
ゆっくり近づいて来たそうだ。
ここは瀬、上ってこられたら逃げ場が無い
先生は隣で爆睡中の同僚を起こす。
「○○先生、起きてください!お化けです!!!」
「ん~。どうしたんですか?まだ真っ暗ですよ?」
「あそこ!あそこにお化けが!!」
その方向にライトを照らした時にはもう男の子は消えていたそうだ
その後、同僚に説明し、同僚も半信半疑のまま何とか納得してもらい
瀬渡しの船に電話して夜明けと共に迎えに来てもらった
『水の音がするたびにまた出るんじゃないかって生きた心地がしなかった』
先生はそんな事言ってた。そんで迎えの船が来て、船に乗り込む時に体験した事を船頭に話してみたそうだ。
「やっぱりあいつか、また出たのか」
船頭は溜息交じりにそう言ったそうだ
なんでも十年くらい前から先生の見た霊の目撃談が出てくるようになったらしくこんな噂が広がると仕事に支障が出るんで黙っててくれと口止めされたらしい
『船上でさ、最後に俺達の居た瀬を見たんだ、そしたらさ、アイツが立ってたよ。
ちょうど俺達が寝てたあたりの所に立って俺らの船を見てたんだ』
その晩の海岸沿いの肝試しは不参加者が続出した