それはどうしても明日には提出しなければ行けない美術の宿題…
嫌だったけど夕方のもう既に生徒も居ない学校へと戻りました。
用務員さんに事情を説明して四階の教室までかけ上がり、無事に宿題を持って帰ろうとしました。
しかし、絵の具を図工室に置きっ放しな事に気がつきました。
図工室は教室のある新校舎ではなく、三階しか繋がっていない旧校舎。
嫌々ながらも絵の具が無ければ宿題が出来ないので
図工室に入りました。
特殊科目の部屋ばかりの旧校舎は昼間でも私は嫌いでした…
暗い旧校舎を小走りに図工室に入ると、足早に絵の具を探しました。
無事見つかり、今度こそ帰れるとほっと一安心…
私の心臓が凍り付きました。誰も居る訳無いのに…
音のした準備室を見ると…誰か居る!
それは髪が肩位の女の子でした
にこにこしながら肘を机に付き、手を組んで顎を乗せてこちらに微笑んで居ました。
恐怖を感じながらも…私は後退りしました。
(きっと私と同じで忘れ物取りに来たんだ…)
と、自分勝手に想像しながら震える声で言いました。
「か…帰らないと先生に怒られちゃうよ…?」
それでもその女の子はにこにこして顎を組んだ手の上から離さないまま微笑んで居ました。
「わ…私は帰るから…」
震える声で言いながらドアを開けて帰ろうとしました。
「待って」
ふいにその女の子が微笑んだまま言いました
私はなぜか全身が汗びっしょりでした。
(ダメ…待ったら怖い事になる…!)
確証もなくなぜか私はそう思い、ドアから駆け出そうとしました。
その時に目にした女の子は…
有り得ない!逃げなきゃ…
と廊下に飛び出る瞬間に見たものは…
女の子には胸から下がありませんでした。
手を組み、顎を乗せて机に付いた両肘を前後に動かして前に進んで居るんです。微笑みのまま…
私は叫ぶ事も出来ず、階段をかけおりました。
見てはいけないのに踊り場で後ろを見ると…
あの体制のまま、かたん、かたんと肘を交互にして降りて来るんです…!
私は必死に走り、上履きのままで外に飛び出し
泣きながら用務員室に駆け込みました。
用務員さんのおじさんは「女の子が…!来る!来る!」と泣きわめく私を抱き締めながら
「また出たんだね…」
と溜め息を付きました。
用務員さんが先生に連絡し、親ん呼んでくれました。
親が来るまでに用務員さんと先生は泣く私の背中を撫でながら教えてくれたのは
十年以上前に美術が大好きな小学三年生の女の子が居ました。
毎日、机に頬杖を付いては外を眺めていたらしいのですが…
ある日、その子はダンプカーに轢かれて体が二つに千切れてしまったらしいのです
それ以来、その子が轢かれた6時にはその子が現れるそうです…
今も夢に出て来ますが、あの微笑んだ可愛さと肘だけで階段を降りる姿が
とても今でも怖くなります…
皆さんも想像したら…どう感じますか?
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