古い付き合いの相棒がそこの親戚筋と言う事で、まぁ、なんとなく美味い魚でも食えれば・・・・
的な感じでした。
金曜日の夕暮れに民宿へ到着し、旅装を解いて早速風呂へ。
温泉と言うわけではないのですが、海の見える(自称)大きな露天風呂は
それなりに気持ちの良いもんです。
風呂の後は楽しみにしていた晩飯。
話に聞いていた通り、鯛やらひらめ(?)やらの船盛に煮魚に、おまけの美味い地酒ですっかり上機嫌。
その晩は普段の仕事の疲れもあって早々に寝てしまいました。
翌朝。
民宿の質素な朝食を摂って近所をブラブラしていると、宿のオヤジが漁に出るとかで準備してました。
こりゃ面白そうだと言う事で、ちっちゃなデジカメ一台持って船外機のついた木っ端舟に便乗。
内海向けの小さなボートに船外機が付いただけの、本当に浜のすぐ近くで使うような船で
沖に向かって20分か30分は走ったくらいですかね。
距離感覚とか方向感覚が鈍いほうなんで、どこまで行ったかは自信がありません。
ただ、ちょっとうねりの入った沖合いの、その波間に日本が消えて無くなるような沖合いでした。
暢気なもんだと思っていたら、程なく大きな魚がヒット。
鯛ですかね?と、聞いたんですが、親父はゴニョゴニョ言うばかりで教えてくれません。
まぁ良いかと思っていたら親父が血相を変えて竿をしまいました。
なんかあったんですか?と聞いても、何も言ってくれません。
しつこく聞いていたら「良いか、何があってもこれから声を出すな、絶対に出すな」と怒鳴られました。
意味が分からずちょっとふて腐りモードで沖のほうを眺めていたら、
なんか白いモヤみたいなのが漂っているのが見えました。
オヤジは自分にも聞こえるような音で派手に舌打ちしてクルリと船の向きを変え、
港に向かって船外機全開で走り始めます。
ふと気が付けば、何となく生臭い臭いと共にベタベタするような湿気交じりの空気が
船を包んでました。
なんだこりゃ?と思い親父を見たら、もの凄い血相で指を口に当てて
シーとするようにして沈黙を求めています。
そして、ハエでも払うようにシッシッ!と手を振って、前を向くように指示されました。
とりあえず何か良くない事が起きるんだろうな・・・・ と思って、
言われたとおりに前を向いて船の揺れに落とされないように船べりにしがみ付きます。
波に当たって木っ端舟は大きくバウンドするように上下に揺れます。
水上の速度感覚が無いもんですから良く分かりませんが、少なくとも走る船の上で受ける
向かい風は時速20キロとかそういう時限だと思います。
後ろの方から男の声が聞こえます。
それもうんと遠くから呼びかけるように「おーい!おーい!」と言う感じで。
なんだろう?と思って振り返ると、同じは手ぬぐいを使って両耳を塞いでいました。
そして、ものすごい形相で後ろを向くな!と言うジェスチャーをしてます。
まぁ、その時点で尋常な事態じゃないと言う事を理解しましてね。
船べりに捕まってジッとしていたんですが、ふと気が付けば良かったはずの天気がスーッと陰り、
船の周りには霧が出始めました。
段々と視界が利かなくなり、それと同時にあの呼びかける声が段々大きくなります。
ただ、その声は呼びかけると言うより助けを求めるようなか細い声にも聞こえます。
出来る限り無視して陸のほうだけを見ていたんですが、そのうち霧が段々深くなって、
陸も見えなくなりました。
波の上で霧に巻かれると、本当に何も見えなくなるんですよ。
吹雪に巻かれるホワイトアウトと同じ位恐ろしいんですよ。
そしたら宿のオヤジが船を止めましてね。
最後尾にどっかりと腰を下ろして念仏なんか上げてるんです。
ナンマンダブ・ナンマンダブって。
本気で怖い思いしたのは2回目ですかね。
チビルとか言う次元じゃなく、もうほんとにパンツの中にでかいのをぶちまける勢いです。
どれ位震えたか分かりませんが、さっきから聞こえてきた声が「おーい!」から「まってくれー!」に
かわって、「たすけてくれーおいてかないでくれー」に成ったんです。
で、そこでピンと着たんです。
これ、ドザエモンの声だって。
恥も外聞もなくガタガタ震えてたら、今度は船のヘリを誰かが叩くんです。
バンバン!バンバン!凄い音です。そして、相変わらず生臭い臭いがしてます。
それなりに波のある状態でしたが、波のうねりとは違う揺れが唐突に船を突き上げましてね。
グラッと揺れた感じで慌てて船にしがみ付いたら、自分の指先になんとも言えないグニャって
感じの感触がありました。
ナメクジ握りつぶしたらこんな感じだろうって感触で、思わずヒャァ!と声を出してしまいました。
すると、そこには波の中に真っ白い人が立ってる感じでこっちを見てました。
上手く表現できないんですが、2階建ての建物の2階から真下にいる地面の人を見下ろす感じですよ。
地面の側の人が首を真上に向けて見上げてるイメージです。
そしてその状態で両手を空に伸ばしてる感じ。
情けない話。
腰を抜かしまして、立てなくなって、そのまま気を失っちゃいましてね。
ふと目を覚ませば港の中で、オヤジが心配そうに私の頬をペチペチ叩いてました。
アレがなんだったのかは今でも分からないんですがね。
あの時、何かを握りつぶしたほうの手の指に魚の目が出来まして。
で、その魚の目の皮がある程度厚くなると自然にぺロッって剥けるんです。
その皮がまるで鱗に見えるって言うんで医者のところに行ったんですけど、
原因不明って事で放置されてます。
なんかとりとめの無い話で恐縮ですが、そんな体験でした。
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