人間の怖さ

【後味の悪い話】俺の曾ジィちゃんの仕事

76: 1/2 2010/06/14 15:47:18 ID:INCX93P10

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俺の曾ジィちゃんは、国鉄時代 汽車の運転手をやっていた。
生前、そんな曾ジィちゃんからよく聞いた話。

引用元: 死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?243


ジィちゃんの仕事は、もちろん汽車の運転なんだけど
どうしてももうひとつやらされる仕事があって
その仕事をやる日はもうイヤでイヤでしょうがなかったそうだ。
要するにまぐろ拾いである。
まぐろ拾いっていうのは、電車による事故(自殺)で
体がばらばらになってしまった人のパーツを拾い集めること。

時代は終戦後で、きたないとかきれいとか、違法合法なんて概念はそっちのけ、
みんな生きるのに必死だった頃。
生きるのがつらくて死を選んでしまう自殺者も、もちろん多かったそうだ。

ジィちゃんは運転手なので、基本的には汽車の先頭車両で、いつも前方を見ていた。
だから、飛び込んでくる人が丸見えなんだ。
飛び込んでくるならまだしも、一番最悪だったのは
線路の上に3、4人(家族)で寝ているのを見てしまったときだとか。

で、線路脇に立って電車を見てる人はいっぱいいるけど、
これから飛び込もうって奴は、どんなに離れていても、顔が見えなくても、すぐわかるんだって。
なんでも、立ってる姿の上に、そいつの目が見えるんだって。
そいつの頭の上に、悲しそうな両目がぼやけて見えるんだって。
飛び込む奴はこういう目をしてるんだ、わかるんだ、って言ってた。

77: 2/2 2010/06/14 15:48:31 ID:INCX93P10
それで曾ジィさんはある日、線路脇に飛び込みそうな奴が見えたから
また目の前で死なれるのがどうしてもどうしてもイヤで、ブレーキを早めにかけたんだって。
予想して、飛び込む前からかけてたんだって。

案の定飛び込んできたその男は、まだまだ若い奴で。
飛びこんだ時に勢いがあったせいか、うまいように飛ばされちゃって
線路脇のくさむらで、のたうちまわってたんだって。

よかった、生きてる!と思った曾ジィさんは、
すぐに汽車をとめて急いでその男のところへ走って行った。

すると、男は
「汽車がとまった、運転手、とめやがったなぁー」
「なんでとめたんですか、なんでとめたんですか、恨みます、恨みますよ…」
って泣きながら叫びまくって、げろを吐いて、
うわごとみたいに運転手(曾じぃちゃん)をすっげぇ責めたんだって。

だから曾じぃちゃんは、バカいうな、死ぬんじゃない、とか色々説教してから
その男を、同僚(国鉄の人なんだろうね)にまかせて、自分はそのまま運転席に戻ったんだって。

そしたらその男、数日後にまた汽車に飛び込んで死んだんだよ。
その男が飛び込んだ汽車っていうのが、
曾ジィちゃんの運転してた汽車の、最後尾車両なんだって。

曾ジィちゃんは、男と知らずにいつも通りそのマグロを拾ってたんだけど
後からそれを知って、あまりに悲しくて腹が立ったそうだ。
あいつ、死に損なった俺の汽車をわざわざ狙ってたんだろうな…だって。
長くてごめんね おわりです

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