季節は夏だったので、たぶんお盆だったんだと思う
引用元: ・ほんのりと怖い話スレ その87
季節は夏だったので、たぶんお盆だったんだと思う
法事か何かで、親戚たちがたくさんその家には集まっていた
そこは母方の長兄の家で、自分はその同じ県内に住んでいたが
遠いところに住んでいる親戚もいたため
年の近い従兄弟とはめったに会えなかった
そんな従兄弟たちと遊べるのが嬉しくて、
はた迷惑も省みず、家中を走り回って、
かくれんぼとか鬼ごっこをして遊んでいた
靴下をはいていた自分は、段の一番上で足を滑らせてしまい
そのまま真っ逆さまに階下まで転げ落ちてしまった
そのときに強く頭を打って
意識を失ってしまったんだと思う
うちは家の前に庭が少しあって、5段くらいの階段を上って
道路に出るようになっていたんだ
なんでか家の方が道路より低いんだよね
でも、さっきまで伯父さんとこにいたのに
何で急にこんなところにいるんだろ?と思っていたら
2軒か3軒くらい向こうに住む子供が外に出てきた
2~3歳くらいだったと思うんだけど、
自分はその子のことがあんまり好きじゃなかった
つかまると放してくれなくって、我侭ばかりですごく厄介だったんだ
だから思わずしゃがんで植木の陰に隠れてしまった
両手にままごとのおもちゃみたいなものを持ってトコトコと歩いてゆく
何をするんだと思って見ていると、
それを道路の端っこに広げて、そのまま道路で遊びだしてしまった
うわっ、危ないだろ!と思っていたんだが
出て行くと見つかって、また遊ぼう遊ぼうと捕まってしまう
それに、めったに車の通る道でもない
う~ん…と思いながらも、そのまま隠れていた
すると、向こうから一台のトラックが走ってきたんだ
白い軽トラだったと思う
まっすぐに走ってくる
立ち上がって、危ない!と声を掛けようとしたんだ
なのに、どうしてか自分の身体が動かない
声も出そうとしているのに、あうあうと口が動くばかりで
まったく声が出ない
その子は気づかないのか、まだ遊んでいる
車はどんどん近づいてくる
そして、本当に車がすぐ傍まで来たとき
その子はようやく顔を上げて車のほうを見た
そう思って顔を背けた瞬間
自分の名を呼ぶ声にはっとした
気が付くと、大人たちが周りを囲んでいて
自分は母の膝枕で横になっていた
「よかったなー」
周りの大人たちは安堵の表情を浮かべていた
何がなんだかわからない自分に
「階段から落ちたんやで」と親戚のおばちゃんが教えてくれた
おでこには冷たいタオルがあてがわれていて
よほど心配していたのか、母は涙ぐんでいた
怖い夢を見たんだ、と
でも、あまりにもリアルすぎて怖くて
そして、ひどく罪悪感があって、誰にも話せなかった
嫌いとまでは行かなくても、好きじゃないと思っている子が
車に轢かれて死ぬ夢なんて
たとえ夢だとしても、自分が悪いような、そんな気がして仕方が無かった
伯父の家からうちは車で1時間くらいで近かった
家に着いたときは、まだ明るかったように思う
家に着くとなぜか近所が騒がしく、すぐに母が外に出て行った
そして帰ってくるなり
今度は父と二人、黒い服を着てまた出て行ってしまった
自分は姉と二人で家で留守番することになった
家の前の道路で車に轢かれたらしい
その日はお通夜だった
次の日の葬式にも両親は参列し、自分たちは留守番をしていた
夢のことは、やっぱり誰にも言えなかった
怖くて仕方がなかったんだ
その後、道端にその子の親御さんがお地蔵様を建てた
その場所は、自分が夢で見たその子が轢かれた場所の
真横だった
以上、実話です
怖くなくてすまん
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