俺が小さい頃の話
俺には2つ下の弟がいて、小学生の間は英語教室に通っていた。
ある日いつも通り英語教室が終わり、自転車で家に帰る途中何気なく後ろを振り返るといつも後をくっついて来てる弟の姿がない。
前方はおろか左右にも。
俺はその場でしばらく待ったが弟が追い付いてくる気配はない。
心配になったので来た道を戻り、途中にある公園などを見て回ったが見当たらない。
いよいよ不安になった俺は大急ぎで帰るや否や、泣きながら家族に弟が途中ではぐれた事を伝えた。
家族と近所に住む親戚の叔母で辺り一体を捜索する事になった。
英語教室、公園、帰り道にある駄菓子屋など心辺りのある場所を白み潰しに捜したが全く見当たらない。
時間は既に夜中の9時。
時間的に自力ではこれ以上無理だという結論になったので、警察に捜索願いを出す為に一旦家に戻ろうという事になった。
すると、違うルートを捜してくれていた叔母から連絡が入った。
「Mちゃん(弟のあだ名)見付かったから、今から家に連れてくよ」
この連絡があって家族みんなひと安心したのだが・・・
間もなくして、玄関のドアが開く音がした。両親と共に玄関に駆け寄った俺が目にしたのは、1人ぽかんとしている弟の姿。
両親が矢継ぎ早に訪ねる。
「おまえ!どこにいたの?・・・?・・・K叔母ちゃんは?」
連れてきてくれた筈の叔母がいない。
弟が言う。
「僕途中の駄菓子屋の自販機でジュースとお菓子買って○○公園(英語教室の近くの小さい公園でここは調べてなかった。今思えば盲点だったw)にいたよ。叔母ちゃんは知らないよ。」
・・・?
叔母ちゃんは弟を見付けたから連れて帰ると言ったはず。
間もなくして叔母からと思われる電話が鳴った。
母親が受話器を取ると顔が青ざめていくのがわかった。
どうやら叔母は事故に合ったらしい。
ここから先は俺は同行していないので母親から聞いた話なんだが、叔母は足と肋骨を折ったものの、命に別状はなかった(3年前に他界してしまったが)。
母親が弟を見付けたという連絡について聞くと、
・近所の墓地付近の坂道にて弟を発見。
・声をかけると無言で近づき車に乗り込んできた。
・何度か顔を確認したが弟に間違いなかったらしい。
・しかし声をかけても無言
・事故時、救出されたのは叔母1人で弟と思われる人物の姿はどこにも見当たらなかった。
今でたまに家族で話題になる出来事です。
あれはなんだったんだろう?