数ヵ月前の週末。
腹減ったからリビング行ってお菓子食ってたのね。
で、母ちゃんはソファで昼寝してて俺適当にテレビ観てた。
そしたら母ちゃんが寝言言い始めて、誰かに道案内してる
みたいだった。
『はい、そうです。ここ曲がるんです』とか『ここ左折です』とか。
面白くてしばらく聞いてた。
『そうです。そのまま道なりです』
そしたらピンポーン。一瞬、え?ってなった。まさかなと思ったら
鍵忘れた兄貴で、玄関先でちょっとほっとした。
で、母ちゃん起床。なぜか汗だく。
『今、誰かきた?』って。
いや、来てない。兄貴帰ってきたけどって答えたら
『他には!?』って。いや、誰も来てないって!って言ったら
めっちゃ安堵してた。
で、父ちゃん帰ってきて夕飯食ってる時。兄貴が唐突に
『お母さん、今日帰りに知らん人からうちん家どこか
尋ねられてんけど、知らん?約束してたんちゃうん?』って。
母ちゃん絶句。
『まぁ、知らん人やしなんかキモかったから知りません言うといたけど』
っとしれっと言う兄貴。
母ちゃんどしたん?って聞くと、今日昼寝中見た夢で顔だけ
ぼんやりとした中年の女に包丁で脅されながら俺んちの
道案内をさせられてた夢だったらしい。
それがあまりにもリアルだし、中年の女の声にも聞き覚えが
あるから怖かったと。
だから自分が案内して本当にここに連れてきてしまったんじゃ
ないか?と思ったらしい。
兄貴が道を聞かれた相手とも特徴が一致。
でも母ちゃんはその女の正体が今も思い出せず、
父ちゃん・兄貴・俺もそれ以降そんな人に声をかけられてない。