奇妙な話

【奇妙な話】川釣りの帰り道が分からずおじさんについていくと奇妙な出来事が

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数年前の夏、バイクでG県のK川に釣りへ出かけた。

17: 本当にあった怖い名無し 2009/09/12(土) 19:31:27 ID:tQvl3F5t0

数年前の夏、バイクでG県のK川に釣りへ出かけた。
土手を走りながらポイントを探して、いいポイントを見つけたのだが、土手は急で鬱蒼とした薮に阻まれ、辿り着くには更に進んだところから、降り戻るしかなかった。
 
ポイント迄、巨大な岩に阻まれ何度も後戻りしながらも、辿り着いた。
絶好のポイント!僕は釣りに没頭し日暮れかけているのも気付かなかった。
辺りは真っ暗”さて帰るか”と思ったが、困った。
真っ暗で何も見えない。
 
後ろを見ると、おじさんが一人夜釣りをしてる。
”釣れますか?”と尋ねると”今日はだめやぁ。もう帰るわ”
しめた!このおじさんに付いて行けば土手の上に出られる。
帰り支度を素早く済ましおじさんに訳を話し、後に続いた。

 

18: 本当にあった怖い名無し 2009/09/12(土) 19:32:10 ID:tQvl3F5t0

しかし、このおじさん、歩くのがもの凄く早い。
必死についていったがやがて見失った。
 
おろおろしてる僕に”おーい。こっちだぁ”とおじさんの声。
助かったぁと声の方へ。しかし、おじさんの姿はない。
”こっちだぁ”と再びおじさん。
どうやらその声は、土手の薮の中から聞こえる。
 
最初に降りた場所より遥かに及ばない所だ。
近道なのかな。と声のする方へ僕は急な土手を上っていった。
しかしそこは道というには、あまりにお粗末な道。
 
ふと静かなのに不安を感じ”おじさん”と、問いかけると
”こっちだこっちだ。はやくしろぉ”とおじさんの声。
 
ほっとして進むが、あまりに道が酷いので、思わず尋ねた。
「おじさん、ここから、本当に上に出られるの?」
・・・・・・
?返事がない。

 

19: 本当にあった怖い名無し 2009/09/12(土) 19:33:02 ID:tQvl3F5t0

「おじさん?いるの?」
「ああ、こっちだぁ」
「この道で出られるんだね?」
・・・・・・
「おじさん、この道でいいんだね?」
「そうだぁ。はやく来いぃ」
「もう土手の上に、いるの?」
・・・・・・
「おじさん!?」
「はやく、こぉぉ~いぃぃ」
 
間延びした嫌な声…何か変だ…”
土手の上に出れられるのか”と尋ねると口を閉ざす。
 
人が通ったにしては草が倒れていない。
蜘蛛の巣にもひっかかる。
嫌なものを感じた僕は、急に恐ろしくなって転がるように土手を降りた。
 
すると”ちっ”上の方で舌打ちが聞こえた。
僕は背筋の凍る思いで、とにかくがむしゃらに走った。
 
何とかここへ来たとき降りた場所に辿り着き、急いで駆け上がりバイクに乗り来た道を帰った。
土手の上を走るバイクの軽快な音。
 
もう大丈夫とほっとして、なにげなく薮の方を見降ろした僕が見たものは、薮の合間にある無縁仏と、その脇でこっちを睨んでいるおじさんの姿だった。

 

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