ミステリー 奇妙な話

【不思議な話】部屋に出た老婆の霊

192: 本当にあった怖い名無し 2015/08/26(水)03:02:56 ID:0eb
mikan

うちの親父から聞いた話。

 

親父が大学3-4年の間、男3人で小さくて古い一軒家を借りて住んでいた。
といっても、家賃をちゃんと払ってるのは、親父と鈴木さん(仮名)だけ。
もう一人の佐藤さん(仮名)はあまりにも貧乏なので、居候させる代わりに、
家の掃除、ゴミ出しなどをやってもらうことにしていた。
(親父と鈴木さんは、佐藤さんの困窮ぶりを助けてやろうということだったらしい)
間取りは3LDKで、LDK6畳・6畳・6畳に4畳半。佐藤さんが4畳半。

この佐藤さんの4畳半に「出た」。
親父も、鈴木さんも、何度も見たのが、恨めしそうに正座する白髪の老婆。
出るタイミングも、朝昼晩関係なし。多い時には一日に三回くらい見る。

 

193: 本当にあった怖い名無し 2015/08/26(水)03:03:28 ID:0eb

以来、老婆の霊は出なくなった…わけではなかった。
相変わらず、老婆の霊は出た。

しかし、佐藤さんがみかん箱に毎日お茶を置き、ご飯を炊いたら一膳のせ…を繰り返しているうち、

1ヶ月ほど経ったら、老婆の霊は、痩せこけた恨めしい姿から、
ふくよかな微笑みをたたえた表情になっていった。
ただし、やっぱり佐藤さんにだけは見えなかったらしいが。

やがて、親父たち3人は就職試験を受け、それぞれが望む職に付き、引っ越す日が来た。
遠方に住む大家さんに話をすると、親父たちが引っ越したら、その家は取り壊してしまう予定だから、特に大掃除などはしなくていい、という。
それでもやっぱり2年間お世話になった部屋だからと、最終日それなりに掃除を済ませると、もう夜中になっていた。
>>3人が最終電車に間に合うようにと、玄関を出て、最後に揃って振り返ると、
佐藤さんが「あっ!」と声を出した。

「お前らが言っていたおばあさんって、あの人か?」
やっと、佐藤にも見えたか! と、親父と鈴木さんも見たが、おばあさんはどこにも見当たらない。
「ほら、あそこ。俺の部屋で手を振ってるよ。ありがとう、おばあちゃん!」

そして、親父と鈴木さんが見えたのは、家の屋根からスゥーと上っていく人魂だった。
(人魂は、佐藤さんには見えなかったのが不思議)

今から30年前、東京都板橋区でのお話でした。

 

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