【不気味な話】紙芝居のおじさん

紙芝居

田舎の話を書く。 

10: 本当にあった怖い名無し 11:53:10 ID:2OFw7Ibf0

545: 名無しさん 投稿日:2014/05/14(水) 19:56:50.18
小さい頃住んでた田舎の公園に、よく紙芝居屋が来ていた。
高齢で、60前後に見えた。

昭和の終わりにもなって紙芝居ってのもなかなかの話だった。
レトロブームが来る前のことで、酔狂なひとが趣味でやっているのでもないらしかった。
もう、昭和30年代からずっとやってます、って感じ。聞いたわけじゃなくて、ずっと通ってたイメージだけど。
そのじいさんは毎週公園にきて、ふつうに紙芝居をやっていった。
システムも往時と同じ、飴を買ったら見せてもらえるってやつ。

じいさんは仕事で来ているわけだから、紙芝居のあとに自分から子供と遊んだりはしなかったが、紙芝居に慣れていない今のガキたちが興味津々に紙芝居のことを質問したりすると、いつまででも喋ってくれた。
そして次第に自分の昔話を始めるんだ。年寄りの話なんてつまらない上に毎回おんなじような話だ。 けどじいさんが喋るたびに同じ話だから、おれ含めガキ共はそれをよくよく覚えていた。

話はだいたいこんなものだ。
じいさんが若い頃にはテレビがなかった。
子供には紙芝居があったけど、少し大人になったやつは、芝居を見に行った。
東京の浅草(おれの田舎は北海道だ)にはお笑いの芝居がたくさんあって、そのなかでもエノケンってひとが日本一の人気だった。
じいさんはエノケンが大好きで、学校を途中でやめて、
エノケンに弟子入りした。
舞台にも出た。
じいさんは何十年かエノケン一座にいたが、エノケンが死んでしまったので、それからずっと紙芝居屋をしている。

じいさんはそれから必ずその「エノケン」の歌を歌った。
「だーんな、飲ませてちょうだーいな、けちけちしなさーんな、駆けつけ三杯ー」。
駆けつけ三杯なんて言葉の意味はもちろんおれらにはわからなかった。

そのうちにおれは引っ越したんだが、数年前、用事があって数日間その街に戻ったんだ。
親の用事だったから、おれはすることがなくて、田舎だから見るものもないので、ぶらぶら散歩していた。
二十年ぶりの田舎だったから懐かしかった。

546: 名無しさん 投稿日:2014/05/14(水) 19:57:37.53
で、公園に行ったんだよ。
そしたらガキンチョが何人かいた。
そのガキンチョが、遊びながら、歌ってるんだ。

だーんな、飲ませてちょうだーいな、けちけちしなさーんな、駆けつけ三杯ー

びっくりした。
まさかじいさんがまだ生きていて紙芝居を続けているとは思えなかったが、あるいは歌だけがガキ共の間で伝わったのかもしれない。
狐につままれた気持ちで家に帰った。

おれはそこではじめて、エノケンのことを調べてみた。
有名な人らしく、すぐ出てきた。
そして、気づいた。

計算があわない。

調べると、エノケンが浅草で芝居をしていたのは戦前のことらしかった。
いつまでやっていたかは分からないが、じいさんが何十年もエノケンの弟子をしていたこと、調べてみるとエノケンが日本一だった時期は戦前であることを考えると、じいさんの現年齢は、100~110であるはずだ。20年前のじいさんは、とても80過ぎには見えなかった。

おまけに、一座をやめたあと、紙芝居屋になったというのも、よく考えたらおかしな話だった。
エノケンが死んだ昭和40年代、テレビの普及で紙芝居業者はほぼ全員が廃業していた。
紙芝居が成り立ったのは昭和30年代のはじめまでだった。

じいさんに関わる時間が、あちこちで、10年ずつずれている。

おれが調べたのは全部ネットだから、実態とはちがうかもしれないが、不気味だった。



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コメント欄
  1. 怖い話の名無しさん より:

    「おじさんコーラ」

  2. 怖い話の名無しさん より:

    うーん、爺さんがホラ吹いてただけって可能性もあるしなあ

  3. 怖い話の名無しさん より:

    紙芝居おじさんの親父さんの話を自分の話みたいに話してたんじゃないか?
    平成初期でも紙芝居してる人の話題はテレビでもしてたよ。

  4. 怖い話の名無しさん より:

    爺さんの話が事実であるという前提でガクブルしているのが微笑ましい
    まああれだ、昭和の終わり頃にも僅かながら紙芝居屋さんは存在したし、うちの地元にはポンポン菓子のリアカーも来ていたよ
    うーん懐かしいねえ

  5. 怖い話の名無しさん より:

    自分の住んでいたところは昭和47,8年ごろはいました。自分の家は離れていたのでめったに会うことはなくおこずかいもなかったので見ることもできませんでした。

  6. 怖い話の名無しさん より:

    買って舐めてた飴が10年前の消費期限切れでさえなかったら問題ない。

  7. 怖い話の名無しさん より:

    紙芝居なんて最近まであったけどなー
    俺は二十歳だが小さい頃俺の住む団地にたまに紙芝居が来てたよ

  8. 怖い話の名無しさん より:

    米1
    クスリ入りだったんだっけ?

  9. 怖い話の名無しさん より:

    童顔ジジイで良いだろ

  10. 怖い話の名無しさん より:

    うちの舅は、往年の大スターに気に入られてデビューする筈だったけど、家業を取って断り、非常に残念がられた、と見栄を張っている。

  11. 怖い話の名無しさん より:

    ジジイのフカシだろ?
    多分、ジジイに取っちゃそこは笑うトコロだったんじゃないの?
    「エノケン=榎本健一=喜劇王」が最早ググらないと認識してもらえない世代に突入していたの残念だったな

  12. 怖い話の名無しさん より:

    よってらっしゃい見てらっしゃい闇芝居の時間だよ~

  13. 怖い話の名無しさん より:

    闇芝居を思い出したww

  14. 怖い話の名無しさん より:

    闇芝居はちょっと怖くてだけど面白かったな

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