雨漏りはするわ、そこから引っ越しの用意でベッド退かしたら床抜けてるわ、凄いあばら家。
十五年ほど住んでたが、おかしな事が山ほどある家だった。
まず、誰もいない部屋から足音、声。
襖あけると、たまに一瞬人影がある。
電気点ければ消えるけど。
無人のベッドの布団が盛り上がってて、剥がしても誰もいない。
勝手に蛇口が開く、などなど。
一番困るのは、ドアが勝手に開いてしまう事。
学校や仕事先から帰ってくると、ドアひらきっぱなし。
泥棒にあってても仕方ないレベル。
鍵をかけても開いてしまうので、困り果てて放置。
家で寝てる時に、チェーンをかけていてもチェーンが外れで全開に開く。
いくらなんでも冬は寒いので、夜は突っ張り棒と縄でドアを固定し、昼は外に南京錠付けた。
ある夜、寝ていたら窓ガラスがこんこんと叩かれたような気がした。
でも時間も遅いので、そのまんまにしていたら、ノックの音がそのまま家の周りを一周し、ドアをこんこんと鳴り出した。
うちの周りは雑草と薔薇で外周は生身じゃ回れない。
つまり叩いてるのは人間じゃない。
こんこんと叩き続けるのに、いい加減キレて『うるせー!』と怒鳴ったら、一瞬ノックが止んでから、一斉に家の壁がドンって叩かれた。震度三くらい。
でもそれでその時は終わった。
朝、周りを見たけど足跡もなかった。
ただ、縄がひきちぎられて、南京錠もぐにゃぐにゃになってた。
寝てれば足を掴まれたり、女に首絞められたりと悪夢も始まり(痣とかあったけど多分夢)、テレビが勝手についたり、電気が消えたりと、おかしな事が続いたが取り壊しまで住んでた。
母と弟はさっさと近くの祖父宅に住み込んでて自分だけが、その家に取り残されていた。
今考えれば、とんでもなく怖かったし、気持ち悪いのに、なんで住んでたのか不思議。
さっき、うたた寝してたら久しぶりに足引っ張る女が「やっと見つけた」と顔覗き込む夢見たので、記念カキコ。
ドアは開いて無かったけど花粉症で一ヶ月閉めきってた窓が開いておりました……