前にニートしてた時に体験した話
時間が有り余っていた私は、月に何度か色々な場所へツーリングへ行っていた。
近場が殆どだけど、たまに隣県やその向こうへと、下道だけを使った貧乏ツー。
下道だけってのはお金がかからないってのはあるけど、ツーリングの目的が色々な場所を体感したいって事だからその下道も楽しい。
大まかにどこを通るか決めた後、ナビ任せで走る。
時には変な細くて車も入れない道へ誘導され苦労して通過したり、深夜に誰も居ない峠道を1時間走らされたり、怖かったけどそんなのも今では良い思い出。
ある時、何度かナビのルートを無視して気ままに走っていると、割と広い走りやすい峠道に入った。
車も通らないしこりゃ楽だと、適度なスピードで横に見える山肌と反対側の渓流を見ながら流す。
自分は山肌側の左車線を走っていた。
いくつかトンネルを抜けると、直進側にカーブ、右手に橋のあるT字の交差点が。
幸い赤信号に捕まらず抜けようとしたが、ふとナビが気になった。
ナビの地図情報が古かったのか、T字の進行方向側の先が書かれていない。橋を渡るルートに案内されていた。
橋側はなんか更に狭く閉ざされた村でもありそうで入りたくなかったので、信号を真っ直ぐ抜けたところの路肩に停車し、降りて地図の確認をしようとした。
と思った途端、カーブから物凄い音と共にトラックが現れた。
トラックは対向車線である山肌側にこすりつけたようで凄い音を出しながらカーブを曲がりきろうとブレーキをかけていた。
転倒するか川に落ちるんじゃ!
と思ったが、なんとか道路からは飛び出ず止まった。
居眠り運転だったのか、スピード超過だったのかはわからない。
ゾッとしたのは、ナビに気がついて止まって居なかったら、私は山肌とトラックに挟まれていたかトラックと正面衝突していただろうということ。
その恐さに気がつく前に出発したが、そのカーブには古びた花束が供えられていた。
少し進んだらナビ上の道が復活して、その後は普通に走れた。
ナビに注視して事故という話はたまに聞くけど、ナビに助けられる事もあるのだと。