今から2年くらい前の話。
当時俺は若干田舎なとこにあるライブハウスで働いてた。
ある日、いつも通り店が終わり、スタッフの子と二人で重いビンごみを捨てにごみ捨て場へ向かった。
23時過ぎだった。
そのライブハウスのすぐ脇には踏切があるんだけど、ゴミを捨てるときはその踏切をわたって50m先くらいにあるゴミ捨て場までいくんだよ。
二人で話しながら店を出ると、丁度踏切が鳴り出した。
話しながら踏切に向かって、遮断機が降りたので、踏切の左端のほうに立ち止まった。
立ち止まると、さっきまで気さくに話してたスタッフの子が突然話さなくなり、しばらくして俯いた。
俺なんか変なこといったかなー?
・・・そう思いながら電車がすぎるのを待つ。
そして左から電車が横切るんだけど、気まずくなった俺は、なんとなく過ぎてく電車を、顔を横に振りながら目で追っていたんだよ。
その途中で、物凄い視線を感じた。
首を振るのをやめて、目だけ動かしてた。
俺とスタッフの子以外周りには誰もいない・・・。
そして、右に通り過ぎていった電車をしばらく眺めていたんだ。
気まずかったからね。
それから50m先のゴミ捨て場まで互いに無言。
その間、スタッフの子はなぜかすごくそわそわしていた。
珍しく霧が深い夜だったから、怖いのかな?とか思ってた。
そんでゴミを捨てて、来た道を戻ろうと振り返ったそのとき、背が175センチくらいあって、黒髪ロングで、ベージュのロングコート着てでっかいマスクをした女とすれ違ったんだ。
すぐ後ろを歩いてたのか、ほんと一瞬見ただけだった。
なんか口裂け女みたいで気持ち悪かったなーって思って、「くちさけ女みたいでしたね」ってスタッフの子に話しかけようと思ったんだけど、その子の表情が話しかけないほうがいい雰囲気だったから何も言わなかった。
そしてゴミ捨て場から20mくらい歩いたところで、その子が一度後ろを振り返ったんだ。
なんだ?と思って俺も振り返ろうとしたが、なんか嫌な予感がして振り返らなかった。
そして店に着いて、スタッフの子がやっと話し始めた。
「あーほんと怖かった。なんだったのあの人。」と言ってきたので、「あー口裂け女みたいな人とすれ違いましたね、気持ち悪かったですねー。」と返した。
そしてスタッフの子が言った。
「ずっとうちらの後ろにピッタリついて来てたから、不審者かと思ったー怖かったー。」
??
後ろついて来てた?
歩いてるときは全く気配なかったけど?
そして何にも気づかなかった俺にその子は何が起きていたのか説明してくれた。
まず、踏切で立ち止まったとき、踏切の向かい側の右端に居た女の人と目が合ったらしい。
目が合った瞬間、自分らの方に体を向けて、手をブラーンブラーンってやってきたんだと。
恐怖のあまり5秒間くらい見つめ合ってたらしい。
不審者だと思ってとりあえず目をそらし、電車が過ぎるのを待った。
そして電車が過ぎて、ゴミ捨て場に歩きだす。
そのとき、その女とは何事もなく踏切を渡れたと思ったら、女は俺らと踏切上ですれ違ったあと、Uターンして俺らの真後ろにきたんだって。
そんでゴミを捨てて帰るとき、その女とすれ違う。
俺はその一瞬しかその女を見ていない。
右に通り過ぎてく電車を見ていたから、必然的に女は視界に入るのに見なかったし、踏切渡るときだって、すこしくらい視界にはいってもいいはず・・・。
そして帰り際、スタッフの子が振り返ったとき、こっちを見ながら手をブラーンブラーンしてたんだと・・・。
「不審者怖い、殺されるかと思った」と言っていたが、その踏切ではその日から2年くらい前に飛び込み自殺があったんだよ。
その自殺直後の現場とゆうか死体を、店の技術スタッフの人が見てしまったんだけど、その人曰く、飛び込んだのは女の人で、各駅停車に飛び込んだからか、派手に散らばってるわけじゃなく、ズタズタになってたとのこと。
その人はコートを着ていて、腕がもげてて・・・とりあえずとても見苦しい状態なってたって技術の人が話してたのを思い出した。
不審者じゃなくて幽霊じゃね?